変形性股関節症(OA)治療法
(1)保存療法
運動療法
外転(がいてん)筋など股関節周囲の筋肉をトレーニングで鍛える治療法です。
筋肉には関節への負担や衝撃を和らげる役目があるため、痛みの軽減や症状の進行を抑制する効果があります。
変形性股関節症の場合は、炎症(えんしょう)と痛みに十分配慮し、関節に体重をかけない臥位(がい)や座位(ざい) で大腿四頭筋(だいたいしとうきん)など太腿の筋肉や、股関節周囲筋の筋力強化を行います。
温水プールでの歩行は浮力により関節の負担が少なくてすむため理想的です。 スポーツジムなどでの器具を用いたトレーニングは負担が大きいので変形性股関節症の患者さんは注意が必要です。
運動療法は股関節疾患の予防にもなり、また万が一、将来、手術を受けることになっても、筋力が維持されていると、 術後の回復に大変有効です。
ひとりではなかなか続けづらい場合は、病院のリハビリテーションに定期的に通い、理学療法士の指導の下、行うことができます。 少しの運動であっても毎日続けることが重要です。
装具療法
変形性股関節症によって不安定になってしまった股関節を安定させるために腰や太ももにSスプリントなどの 装具をとりつける治療法です。
温熱療法
温めたパック(ホットパック)を用いて関節を15分~20分程度温めます。
家庭でも安全にでき、また局所の温熱効果は痛みや血流の改善などに効果があります。
薬物療法
関節の炎症を消炎鎮痛剤(しょうえんちんつうざい)で抑える治療法です。 湿布(しっぷ)や軟膏(なんこう)などの外用薬も併用して使う場合があります。変形を抑制・治癒(ちゆ)する効果はありません。
出典
1: 「リウマチ・アレルギー対策委員会報告書」平成17年10月 厚生科学審議会疾病対策部会/リウマチ・アレルギー対策委員会