専門医インタビュー
奈良県
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以前は手術による出血のために輸血が必要になることがあり、手術前に患者さんの血液を採血し貯めておくこと(⾃⼰⾎輸⾎)がありました。しかし、手術前から止血作用のある薬剤を点滴し、手術を終える前に患部にも注射することでより出血を抑えることができるようになっています。そのため、両膝同時に手術を行う場合でも輸血の心配がほとんどありません。
最近の臨床研究の結果では、手術後の痛みをできるだけ緩和してスムーズにリハビリを始めていただくことが日常生活に早く戻る近道であるばかりでなく、術後合併症予防にもつながることが分かってきました。日本では、痛み止めや炎症を抑える薬などを複数混ぜ手術を終える前に膝関節周辺の組織に注射するカクテル注射が一般的に行われるようになり、術後の痛みを軽減しています。内服薬も近年では使用できる薬剤が増えたので、より効果的なものを選択しこれまで以上に痛みを軽減できるようになっています。また、手術後2~3日間は、ベッド上では患部を冷やし続ける装置を使い腫れや炎症を抑え痛みを緩和できるようにもなっています。このように様々な薬剤や方法を組み合わせることで、総合的に術後QOLの向上を⽬指しています。
⼿術翌⽇から、⽇常⽣活動作の拡⼤を⽬指した歩⾏訓練や⽣活動作の練習、関節の機能改善を⽬指した可動域訓練や筋⼒トレーニングを⾏っていきます。特に膝をしっかり曲げられるようになるためには、術後早期のリハビリが有効です。しかし、いきなり激しいリハビリを⾏うと、筋⾁が緊張してかえって痛みを増幅させ状態を悪化させることがあります。そのため、患者さんごとに担当の理学療法⼠が、痛みをできるだけ感じないよう筋⾁をリラクゼーションさせスムーズにリハビリを⾏います。退院してから最初の受診の時に、家事などに追われ⼗分にリハビリの時間が割けず膝の動きが悪くなっている⽅がおられますので、理学療法士がしっかりとリハビリを指導してくれますから、退院後も3カ月に一回はリハビリに通ってください。通常、リハビリで通院している間は、主治医と担当の理学療法士がずっと経過を見ますので、患者さんの状態を把握しやすく何かあった場合はすぐに対処することができます。
変形性膝関節症は、病気と言うよりは膝の老化のようなものだと思います。変形が軽度な方から重度な方、痛みが軽い方から重たい方など様々です。特に今は、ご自身の状態を正確に知りたい、どんな治療法が自分に向いているかを知りたいと言われる方が増えています。膝の専門医であれば、手術だけでなく、保存療法を含め総合的に治療法のアドバイスを行うことができます。また、ご自身の状態を知ることにより症状が改善することがかなりあるので、膝の痛みがあればぜひ一度、専門医にご相談ください。
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