専門医インタビュー
奈良県
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レントゲン画像上、変形性膝関節症が進行していてもすぐに手術を受ける必要はなく、痛みがあっても日常生活に困っていなければ無理に手術をする必要はありません。ただし、日常生活だけでなく山登りやゴルフなどやりたいことは人それぞれです。膝の痛みのせいでやりたいことにどれくらい支障が出ているかで手術を考えても良いと思います。
手術を希望しても高齢だと手術を受けられないのでは、と思われるかもしれません。しかし、手術前の全身検査の結果が問題なければ、かなり高齢の方でも手術を行うことがあり年齢は関係ありません。ただし、あまりにも筋力が落ちていたり動きが悪かったりすると手術を受けてもリハビリに時間がかかるので、その前に手術される方が良いと思います。
変形性関節症により、両膝とも変形が進行して激しい痛みを抱えている方も多くおられます。左右の変形が異なる場合は片方の膝の手術を行うことがありますが、両膝とも同じくらい変形し痛みがある場合、手術のメリットやデメリットを説明した上で患者さんが希望されれば両膝を同時に手術することがあります。患者さんからは、「両方の膝を同時に手術できるんですか」とびっくりされることがありますが、全身検査を行った上で大きな問題がなければ高齢の方でも可能です。
両方の膝を一度に手術するので、手術後1週間くらいは片膝の手術よりも負担があり、入院期間が1週間程度延びます。しかし、片膝手術と同様に術後翌日からリハビリを開始し、1週間くらい経てば片膝の手術を受けた方と同じくらいの経過で過ごせると思います。特にO脚変形が進んでいる方の場合、片膝ずつ手術を行うと左右の脚の形がアンバランスになり脚の長さも変わるので、歩きにくいことがあります。同時に両膝の手術ができれば脚の形や長さを一度に整えられるので、リハビリをスムーズに行うことができ、2回に分けて手術を行うよりもトータルでの治療期間が短くなります。
以前は、レントゲンの平面画像をもとに人工関節の大きさや設置する場所を決めていくことが一般的でした。しかし、患者さんそれぞれで変形度合いや立体的な骨の形が違うので、レントゲン画像だけでは骨の状態を詳細に確認することは難しかったのです。近年では手術前に下肢のCT撮影を行い、そのデータをもとに骨の正確な3Dモデルをコンピューター上に作成でき、手術前に患者さんの膝や下肢の状態をしっかり確認できます。また、その画像をもとに患者さんにピッタリフィットする人工関節の選択や、骨を削る量や角度などを確認しながら手術のシミュレーションを行えるので、より安全で正確な手術が可能です。
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