専門医インタビュー
新潟県
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リハビリテーションセンター
病院ではその人に必要なリハビリの方法を指導します。でもそれを毎日継続して行うのは患者さん自身です。自宅で、例えばお勝手で炊事をしながら、片付けをしながら、病院で教わった膝の曲げ伸ばし運動を毎日続けてください。人工膝関節の人だけではありません。全てのお年寄りに共通して必要なのは、生きている限り足腰の筋肉の力を保つことです。歩行に必要なのは、柔軟な関節と下肢の筋力です。リハビリには終わりがありません。
手術の説明書
人工膝関節後にやってはいけない動きはありません。でも、退院後1カ月くらいは走らないで、できれば早歩きもしないほうがいいでしょう。半年もたてば、膝が痛かったことなどすっかり忘れて、最終的には年齢相応に何でもできるようになります。焦らないで、転ばないように気を付けてください。
退院後は、定期的に受診してもらいます。何か不具合は起こっていないか、どれだけ筋力が維持できているかなどを確認し、励ますのが外来診療の目的です。手術後の目標を100 点の状態とすると、80 点くらいまでは医療の力で手伝えるけれど、最後の仕上げは本人しかできません。「これで完璧!」と評価できるのは、患者さん自身だけです。自分なりの目標を決めて、頑張ってください。手術の合併症として注意したいのが、血栓症(エコノミークラス症候群)、感染症、人工関節周囲の骨折、人工関節の緩みなどです。
血栓症は手術直後からの運動療法・薬物療法で防ぐことが出来ます。感染症はちょっとした不注意が原因で起きてしまうこともあります。例えば、身体に潜んでいる菌が人工関節付近に入り込んで炎症を起こすこともゼロではありません。虫歯などの口腔内感染症はしっかり治療して下さい。
また、健康に気を付けて風邪などをひかないようにすることも大事です。
転んでしまって人工関節周囲の骨折を生じることもあります。移動時は足元に十分注意しましょう。術後長期間(10 ~ 20 年)を経てから人工関節が緩んでしまうこともあります。定期的に医療機関を受診し、X線検査を受けましょう。しかし合併症が起こる確率は低く、もし何か不都合が起こっても治療法はあります。自分の体の変化に関心を持って、何かあれば早目に医師に相談して下さい。
日常生活に支障をきたすような膝の痛みがある場合は、我慢しないで医療機関を受診しましょう。手術は怖いとしり込みをする人は、納得いくまで保存療法を頑張ってみるのもいいでしょう。治療にはいろいろな方法があります。それを提示するのは我々の役目ですが、選ぶのは患者さん自身です。とはいえ、症状や治療には段階があることや手術の話などは、ぜひ若い世代の家族と一緒に説明を聞いてほしいというのが私の願いです。
人工膝関節置換術は、痛みを取り去り元気で動くための手段です。いつも私達は、「痛みが取れたら何がしたいですか」と尋ねています。「料理を作りたい」「スーパーに買い物に行きたい」などと、小さなことでも自分がやりたいことを頭に描いてもらいます。ただ漠然と痛みを取りたいというのではなく、あきらめていたけれどもう一度やりたいこと、目標や夢を具体的に持っている人は、人工膝関節置換術を受けた後、より順調に回復しています。
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