専門医インタビュー
新潟県
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人工膝関節置換後のレントゲン
人工膝関節置換術は、変形した自分の膝関節の代わりに人工のものを入れて、痛みを取り除き日常生活が不通に送れるようにする手術です。大腿骨と脛に人工の支柱を差し込み、その間に高分子ポリエチレン製の関節軟骨の代わりになるものを設置します。
近年、人工関節そのものの性能もずいぶん良くなりましたし、手術を行う医師の手技も安定してきました。今、全国で年間に8 万5000 人ほどの方がこの手術を受けています。でも、レントゲン画像の結果や総合的に判断して、医師がこの患者さんには手術が必要だろうと思っても、なかなか決心できない人もいます。そんな方には無理には勧めません。最終的に決めるのはあくまでも本人の希望です。
人工膝関節置換術は、両方の膝を同時に行う方法もあります。加齢に伴って起こった関節変形の場合は、両膝とも悪くなる人が多いのです。手術時間は若干長くなりますが、一回ですむにこしたことはないでしょう。ただし、80 歳以上の方は、同時にではなく2週間くらい間をあけて行います。
両側同時手術を行うか、あるいは片足ずつにするかの判断基準は一概には言えませんが、患者さんには「痛いほうの膝の痛みを10 とすると、もう片方の膝はどのくらいですか」とたずねます。10 対2なら片方の膝だけを、10 対7なら両側同時手術を選びます。では、10 対5ならどうするか、それぞれの状態に応じて総合的に判断しています。
手術の説明書
人工膝関節置換術を行うことが決まり、手術の方法も選択できたら、血液検査、胸部写真、掛かりつけ医からの情報などを確認して、患者さんに手術を受ける体力があるかどうかを調べます。手術前リハビリ、手術後のリハビリのやりかたや、手術の説明書などを患者さんに渡しています。一度説明を聞いたくらいでは、忘れてしまうことも多いでしょうから、何度でも読んで確かめてください。
入院は手術の前日、手術の翌日にはベッド上で起き上がり、リハビリを開始して、およそ2週間で退院―というのがごく標準的な流れです。退院時には、一本杖で歩いて帰る人がふつうです。そのあとは自分で、自分が求める柔軟性と、求める動きができるように練習するのです。
膝関節を人工のものに取り換えて痛みを取り去る、その手術は我々医師が行います。しかしそれだけでは十分ではありません。人工膝関節を自分のものにして自由に快適な動きを取り戻すために、手術後のリハビリはとても重要です。
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