患者さんストーリー
ひざ関節
渡辺 成甲さん
高知県在住
85歳(手術を受けた年齢)
病名 変形性膝関節症(両足)
治療法 人工膝関節置換術
フランスのレノさんは3週間滞在予定。牛の世話や畑仕事を手伝ってくれる。日本語で談笑。レーベンのデッキからは佐賀山の絶景が広がる
智子さん WWOOFは、わたしがオーストラリアに行っているときに知り、うちもホストになれるんじゃないかなと、始めました。おじいちゃんは昔から好奇心旺盛でしたが、足が治ってから、ますますいろいろなことに興味を持つようになったみたいです。外国のお客さんとも積極的に交流を持とうとするんですよ。話したくてしょうがないみたいです。
成甲さん 最初はどうなることかと思いましたが、楽しいですね。
ヨーロッパやアメリカから来るご夫婦や若者も、みんないい人です。言葉は、あちらが日本語を話してくれます。あとは手品ね。
智子さん ジェスチャーのことです(笑)
成甲さん そうです。身振り手振りでだいたいわかってくれる。
智子さん 昨日はレノさんと登山をしたんですよ。取材の人に、「登山をした」と言いたいからって。
成甲さん ここは山の6合目くらい。825mのところです。頂上は1400m。小学生の頃、遠足で登って以来です。昔は険しい道で、鎖を手繰りながら岩場を登ったものですが、その鎖はまだありましたね。いまは階段ができていて、両杖をつきながら、1000段を登りました。往復で4時間ほどかかりましたか。
牛舎では干し草のエサをやったあとに放牧。「ハイッ、ハイッ」と成甲さんの力強いかけ声が響きます。ビニールハウスに続く急な坂道も、実に軽妙な足取り。トマトの様子を見て、もうひとつのログハウスへ。薪ストーブの隣で自家製のパン、チーズ、ジャムのおやつタイムです。
ビニールハウスでは高地に適した冷涼野菜を栽培
トマトの様子を見る成甲さん
成甲さん ジャムは、いちご、ブルーベリー、あんず……季節の果物でつくります。野菜も、自分でつくったものがいちばんおいしい。自分のつくったもので食卓を豊かにする。それがわたしにとって贅沢な食事であり、理想。心がけて大切にしていることです。料理をつくることはそんなに得意ではありませんが、梅や大根を漬けたり、お酒もつくります。タンパク質は、豆からとるようにしているので、よくつくります。この町に昔からある「銀不老」(ぎんぶろう)という豆です。自然の山菜をとってきて貯蔵したり、冷凍したりもします。魚はアメゴを養殖しています。
智子さん 販売用の野菜は主に家族でつくりますが、自宅用はトマト、キュウリ、ナス、レタスなど、おじいちゃんが栽培しています。
成甲さん こうして毎日働いて、自分のつくったものを食べていけるのは幸せなことです。毎朝目が覚めると、今日もがんばろうと思いますし、うれしい気分にもなります。毎日が楽しい。悩みを抱える若い人のニュースを聞くと、ここに来ればいいのにと思いますね。こんなふうに思えるようになったのも、足がよくなってから。ありがたいことですね。いまはとにかく、この土地を守りながら、生きている間にやれるだけのことをやりたいと思っています。
<2012年6月取材>
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