患者さんストーリー
ひざ関節
橋本 佳世子さん
奈良県在住
80歳(手術を受けた年齢)
病名 両ひざの痛み
治療法 人工膝関節置換術
大浦天主堂にて。起伏の多い長崎観光も楽しめたそう。
退院後の生活にあたっては、「ひざをつくなどの膝蓋骨(お皿の骨)に圧力をかける動作を避けるように」と、先生から注意を受けました。また、定期検診にもキチンと来るように言われました。退院した翌月に1回、その3か月後にもう1度診察を受け、その後は年に1度診てもらっています。
手術の半年後くらいからは、積極的に外に出るようになり、ひんぱんに旅行するようになりました。関西近郊を含め、毎月のようにどこかへ出かけていますね。杖は必需品ですが、以前のようにひざが痛くて歩けなくなって同行者を待たせてしまうことは、もうありません。
手術から15か月後に出かけた九州の島原・天草(長崎・熊本)への旅行では、かなり歩きました。坂道が多くて大変だった大浦天主堂へも礼拝することができました。その2週間後には、エジプトへの海外旅行に行ってきました。クフ王のピラミッドにも登ることができたことは、自分でも驚きです。周りの方も、まさか私の両ひざに人工関節が入っているとは思わなかったことでしょう(笑)。
エジプト旅行では、ラクダにも乗られたとのこと
また、手術前から「歌会」に参加しているのですが、手術後は毎年の東京全国大会、翌日の吟行など、自信を持った足取りで参加することができました。もちろん、周りの方々にご迷惑をかけることもなく、精神的にも旅行を楽しめるのがとてもうれしいですね。
姿勢が良くなり、着物もきれいに着られるようになったそうです。
ひざの痛みから解放されたことで、80歳を過ぎてなお、いろんなことに興味が持てるようになり、毎日前向きに、明るく生活することができています。
面と向かって直接はなかなか言えないのですが、何かと手配してくれた息子嫁には、心から感謝しています。
『こんなに楽しい人生を与えてくれて、ほんとにありがとう』
<2010年3月取材>
とても若々しくて、明るい橋本さん。本当に毎日を楽しく過ごされているようで、担当医師としてもうれしい限りです。
「啐啄同時(そつたくどうじ)」という言葉があります。「啐(そつ)」は、鳥の雛が卵からかえる時、内側から殻をつつく音のこと。「啄(たく)」は、親鳥が外から卵の殻をつついてふ化を助けること。つまり、雛と親鳥が同じタイミングで卵の殻をつつくことで、安全に最良の状態でふ化できるのです。
人工関節手術も同じことが言えると思います。患者さんが手術をしようと決心するタイミングと、その患者さんが手術をすべきだと医師が思うタイミングが合致すると、手術後もスムーズな経過が得られます。患者さんがもっとも安心できるタイミングで人工関節手術を促すことは、医師の役目でもあると思います。
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