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専門医インタビュー

圧倒的に女性に発症しやすい変形性股関節症 負担が少ない「前方アプローチ」の人工股関節置換手術で回復を!

この記事の専門医

  • 五十嵐 達弥 先生
  • 札幌いがらし人工関節クリニック 理事長
  • 011-761-1187

北海道

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北海道大学医学部卒、北海道大学医学部大学院博士課程卒。社団法人日本整形外科学会認定整形外科専門医、医学博士。
得意分野:人工股関節、人工膝関節、ACL、肩肘疾患

この記事の目次

術後のリハビリについて教えてください。

リバビリ室

股関節の治療は、単に人工関節を入れて終わりではありません。股関節が以前の滑らかな動きを取り戻し、また支障のない生活を送ることができるようになるためには、術後のリハビリを通して十分な筋力を付けなければいけません。リハビリは基本的に手術の翌日から行います。前方アプローチの場合は筋肉を切っていないため、ごく早いうちに離床する患者さんが多いですね。ほとんどの患者さんが翌日に歩行できています。リハビリには特に決まったプログラムや制限はなく、患者さんの痛みや状態に合わせて一人ひとりにあった内容を組んでいます。入院期間は、術後1週間です。退院の目安としては、歩く、しゃがむ、床から立ち上がる、階段の昇り降り、入浴に関する動作などが全てクリアできることです。人工股関節のリハビリに慣れたスタッフが付き添いますので心配ありません。

退院後の生活において何か気をつけるべきことはありますか?

最初の2カ月〜3カ月は月に1回、その後は年に1回くらいのペースで受診を

前方アプローチの場合、普段の生活の範囲内であれば脱臼の危険性はほぼありませんから、無理な姿勢や動きをしないこと以外に、特に動作制限はありません。むしろ関節が固くなると拘縮が起きて可動域が狭くなってしまうので、ストレッチなどで股関節を柔らかくする習慣を身に付けてください。スポーツは、股関節への衝撃が強いものはあまり勧めることはできませんが、ウォーキングやサイクリング、水泳、ゴルフなどは概ね問題ないでしょう。ただし、動きの激しいスポーツなどを継続して行う場合は、軟骨の代わりであるポリエチレン製のライナーが早く摩耗してしまうため、より短期間で人工関節の入れ替え手術が必要になることがあります。もし、人工股関節自体が緩んでしまったら全てを取り換える再置換術が必要になりますが、ライナーだけの交換手術であれば時間は10分〜15分程度です。このような人工関節の緩みを早めに発見し対処するためにも、年に1度来院してもらうようにしています。

股関節の痛みに悩んでいる人へのアドバイスをお願いします。

過去に臼蓋形成不全や股関節脱臼と診断されたことがある人や、母親や祖母などに股関節の治療経験がある人は、将来的に変形性股関節症を発症する可能性があります。変形性股関節症は急に発症する病気ではありません。若いうちは何ともなくても加齢と共に少しずつ進行し、股関節に痛みが出てきたり、左右の脚のバランスや歩き方に違和感を生じたりしてきます。症状が進行すると治療法も限られてきますので、自分の股関節の状態を正しく把握する意味も含め、股関節の専門医を訪れ一度チェックを受けてみるといいでしょう。すでに股関節の痛みや変形性股関節症で悩んでいる人は、やはり人工股関節置換術を治療法の選択肢の一つとして考えていく必要がありますが、まずお願いしたいのは「怖がらないでください」ということです。人工股関節置換術は、単に痛みを取るだけではなく、歩容を改善し行動の範囲を広げ患者さんの社会復帰を実現するための治療法です。手術の痛みや怖さよりも、痛みを抱えながらこの先ずっと動けない状態でいることの方が遥かにつらいのではないでしょうか?股関節の痛みを放置するのではなく、タイミングを逃さずに適切な治療を受け、一日も早く普通の生活を取り戻しましょう。


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