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専門医インタビュー

膝の痛みをあきらめないで。適切な治療で健康寿命を延伸!

高知県

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日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ専門医・リウマチ専門医、日本リハビリテーション学会専門医、日本リウマチ学会指導医・専門医

この記事の目次

高齢化先進県の高知県では、加齢に伴う変形性膝関節症の患者さんが増えています。膝の痛みは身体の動きを制限し、日常生活にも支障をきたします。日常的に介護を必要としないで、自立した生活が送ることができる期間である「健康寿命」を延ばすためには、自立歩行が大切です。また、要介護や寝たきりは本人だけの問題でなく、家族など周囲の人にとっても大きな問題になります。人生の最後まで痛みをなく自分らしい生活を送るためにも、膝の痛みの原因とその治療について、正しい知識を持つことが重要です。今回はそのような点から、高知赤十字病院・第二整形外科部長の内田理先生にお話を伺いました。

膝の痛みに悩む人が多いですが、どのような原因が考えられますか?

変形性膝関節症のX線(正面、側面)

膝の痛みの原因はたくさんありますが、一番多いのは「変形性膝関節症」です。変形性膝関節症には、一次性のものと二次性のものがあります。一次性は加齢による軟骨のすり減りや肥満による膝への負担増加、ホルモンの影響などによって起こります。一方、二次性は関節リウマチや、スポーツ外傷や交通外傷などによる骨折や靭帯損傷、半月板損傷などに起因します。人口の1/4が65歳以上の高齢者社会の日本では、加齢による変形性膝関節症が圧倒的に多く、症状がある人は全国で700万人に上ります。また、女性に多い疾患で、骨粗しょう症が進むのと同様に、50代から膝の痛みが出始める人が多いのが特徴です。日本人は痛みに対して我慢強く、ついつい「これくらい」と我慢しがちです。しかし、早いうちに治療をすれば症状は改善しますので、痛みが持続し日常生活が制限される場合は早めに専門施設を受診しましょう。治療にはいろいろな方法があるので、自分の症状に合った方法を選択することができます。高齢であっても、決して諦めることはありません。

膝の痛みは「もう歳だから」と諦めがちですが、具体的にはどのような治療があるのでしょうか?

ヒアルロン酸の関節内注射

まず、「手術をしない方法(保存療法)」と「手術をする方法(手術療法)」に分かれます。手術をしない方法としては、膝周りの筋力を増強する筋力訓練や温熱療法などの理学療法があります。ヒアルロン酸の関節内注射も痛みを取るのには有効です。消炎鎮痛剤も色々なものが出ていますので、専門医による的確な診断のもとで適切に使用をするとよいでしょう。症状が比較的軽度な場合は、このような治療法のみで十分症状は改善されます。一方、症状がある程度進んでいる場合やかなり重度に悪化してる場合は、どうしても手術の検討が必要になります。

関節鏡視下手術。関節鏡と手術器具を関節内に挿入し、破片などを取り除きます

手術の場合は、「骨は手術しないで残す方法」と「骨そのものを手術する方法」があります。骨を残す方法には、患部を小さく切って関節鏡を入れて中をのぞき、傷んでいる部分を修復する「関節鏡視下手術」があります。軟骨がすり減っている場合は軟骨移植の方法もありますが、高齢者の変形性膝関節症には適応しません。一方、骨そのものを手術する方法としては、変形して傷んでいる骨を切って矯正する「骨切り術」と関節の傷んでいる部分を取り除き人工の関節に置き換える「人工膝関節置換術」があります。人工膝関節置換術をすると、痛みがなくなるだけではなく、身体を支える支持体をしっかりと作ることが可能になります。いろいろな選択肢があるので、自分の生活や適応に合ったものを選ぶことが大事です。まずは、専門医に相談してみましょう。


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