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専門医インタビュー

外反母趾の痛み・変形は早期治療が大切です。放置しないで足の外科医に相談を

この記事の専門医

仁木 久照 先生

神奈川県

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専門分野:足の外科、小児整形外科、整形外科一般
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会研修指導医、身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)、義肢装具適合判定指定医、難病指定医、臨床研修指導医、小児慢性特定疾病指定医、日本整形外科学会小児運動器疾患指導管理医師

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この記事の目次

外反母趾の人が自宅でできる運動療法はありますか?

軽度であれば、足指のグーチョキパー体操が効果的です。すべての指を握るのを「グー」、親指と人差し指の間を開くのを「チョキ」、すべての指の間を開くのを「パー」として、まずは2~3週間、集中的に取り組んでみてください。毎日いつでも気がついたときに行い、1日合計200回以上を目標とします。慣れないとなかなか難しいものですが、最初はできなくても意識して足の指を動かそうとするうちに、徐々に形をつくれるようになります。
普段靴を履いている時間が長い人は、靴の中で足の指に力を入れて、開いたり閉じたりするのでも構いません。
その他、床に広げたタオルを足の指の力でたぐり寄せるタオルギャザーも有効です。こうした運動療法により、母趾外転筋や母趾内転筋をバランスよく鍛えていくことで、症状が改善されるケースは多くあります。

グーチョキパー体操

グーチョキパー体操

靴選びやインソール等の装具療法について教えてください

インソール

インソール

靴は高いヒールを避け、つま先にゆとりがあるものを選ぶのが原則です。横幅だけでなく上下の高さも十分かどうかを確認します。実際に足を入れて試したとき、痛みがなく楽に歩けるものがご自分に合った靴です。TPOによってはハイヒールが必要な機会もあると思いますが、直前まではスニーカーを履いて行き、持参したハイヒールに履き替えるなど工夫してください。
インソール(足底板)の使用が有効なこともあります。ご自分の足と靴に合わせてインソールをつくってもらうことで、バニオンやタコができた部分にかかっていた圧力を和らげ、靴の中で筋肉や腱が正常に働けるよう促します。オーダーメイドといっても装具屋さんに任せきりになるのは望ましくなく、主治医にきちんと指示を出してもらうことが重要です。また、軽度の患者さんであれば、夜寝るときに装着し、親指をストレッチする矯正装具もあります。いずれも健康保険の適用です。

外反母趾の手術を考えた方がいいのはどういうときですか?

中等度や重度の外反母趾で、保存療法では対応できないような場合には手術を考えることになります。「バニオンや足裏のタコが靴に当たって強い痛みがあり、歩くのがつらい」「親指が人差し指の下に潜り込み、人差し指が脱臼している」などが手術適応の代表例です。痛みよりも外反母趾による変形がコンプレックスになっていて、手術を希望する患者さんもいます。そうした場合も手術自体は可能ですが、術後の回復に2、3カ月間はかかること、手術に伴うリスクがあることを踏まえて慎重に考える必要があります。
一方で、30~40代などの若い世代では、痛みが強くても仕事や育児などでご自分の治療に専念できないという人もいます。なんとか痛みをやり過ごし、高齢になってから手術に踏み切るようなケースが多いのですが、その間にも症状は進行してしまいます。手術は重症になるほど複雑化し、難易度が上がってしまうので、主治医とよく相談の上、タイミングを検討してほしいと思います。

外反母趾にはどのような手術方法がありますか?

軽度、中等度、重度によって手術方法はさまざまあります。軽度の場合は、親指の付け根に近い位置で第1中足骨を切り、正しい位置に骨をずらして鋼線で固定する方法があります。中等度になると、より足首に近い位置で第1中足骨を骨切りした上で矯正し、金属でできたインプラント(スクリューやプレート)で固定する方法が選択されることがあります。
重度の変形がある場合は、TMT関節の第1中足骨と楔状骨をそれぞれ切り、数ミリ短縮させてインプラントで固定します。また重症例では、親指が内側に曲がって他の指の下に潜り込み、人差し指や中指まで脱臼しているケースが非常に多いです。そうした場合は、人差し指や中指でも骨切りをして矯正・固定する必要があります。指全体でバランスがとれるように調整し、できるだけ術後に動きやすい足をつくっていきます。

中等度に対する手術の一例

中等度に対する手術の一例

重度に対する手術の一例

重度に対する手術の一例

外反母趾の手術で進歩してきた点があれば教えてください

外反母趾の手術で用いるインプラントが進化しています。ロッキングプレートなど高い固定力を期待できる内固定材の開発により、術後早期にリハビリが行えるようになっています。
また術後の痛みも、以前と比べてより効果的に抑えられるようになっています。超音波ガイド下での膝裏への神経ブロックはその一例です。術後まだ全身麻酔が効いている状態で、エコーを使って画像をリアルタイムに確認しながら、痛みに関わる神経にブロック注射を行います。この効果が約24時間持続するため、手術当日から翌日にかけて痛みが気になるという患者さんは大幅に減っています。


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