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専門医インタビュー

人工股関節置換術は痛みや変形を改善し健康長寿を延ばす可能性のある有効な選択肢の一つです

この記事の専門医

谷口 隆哉 先生

和歌山県

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専門領域:関節外科(股関節外科・膝関節外科)
所属学会やその他役職:日本整形外科学会、中部整形災害外科学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会、日本骨折治療学会、日本骨・関節感染症学会、関西関節鏡・膝研究会、医学博士、中部整形災害外科学会 評議員、日本人工関節学会 評議員、日本人工関節学会 認定医、日本股関節学会 評議員、Osaka Hip Meeting 世話人、Hybrid THA 研究会 世話人、和歌山県立医科大学 整形外科学講座 臨床准教授、厚労省臨床研修指導医

この記事の目次

人工股関節と上手に付き合っていくための留意点を教えてください

人工股関節の一例

人工股関節の一例

基本的に日常生活動作には制限をかけていません。正座や和式トイレの使用も問題なく行っていただけます。スポーツもコンタクトスポーツ以外は大丈夫です。テニスやゴルフ、ジョギングなどを行っている方がたくさんいらっしゃいます。ただし、高度なヨガのポーズなど、あまりにも複雑な動きはやめておきましょう。進化した現在の人工股関節であれば、30年の耐久年数も期待できるところですが、それを実現するには医師の正確な手術手技だけでなく、患者さん自身の「人工股関節を大事に使おう」といった心構えも重要です。手術後も体重コントロールや筋力トレーニングを心掛け、股関節への負担を減らすようにしてください。また、いい状態を長く保つためには定期的なチェックが欠かせません。どんなに調子がよくても1年に1回は受診し、人工関節にゆるみなどの異常が出ていないかをチェックしてもらうようにしましょう。

人工股関節の再置換が必要になることもありますか?

人工股関節がゆるんだり、まれに感染が起こった場合には、再置換が必要になることもあります。ただし、1回目の手術を適切に正確に行うことで、再置換の可能性はかなり抑えることができると思っています。通常、再置換を行う際には脱臼リスクが高まりますが、横向きで手術を行うOCMであれば、脱臼リスクを抑えることが可能です。なぜなら、再置換術は難易度が高いためマンパワーが必要になりますが、二人しか術野を確保できないALSに比べ、OCMでは術中介助や助手を務める医師を含め三人で手術を行っても、全員の術野が十分に確保でき、共有できるからです。また、人工股関節置換術を行うに当たっては、その患者さんと一生付き合っていく覚悟で行うことが大切ですが、何らかの理由で他の医師が再置換を行うことも考慮し、再置換しやすいような手術を心がけることも大切です。筋肉や靭帯を温存する手術を行っておけば、再置換でもMIS(最小侵襲手術)を行うことが可能になります。

股関節の痛みに悩んでいる方や手術を迷っている方へアドバイスをお願いします

他の関節への悪影響を防ぐ

変形性股関節症の場合、比較的若くから痛みがひどくなるケースもあるのですが、再置換の可能性が高いという理由で60歳未満の方には手術を行わないという考えもあります。しかし、人工関節以外では症状の改善が望めない状態の方に、10年も20年も我慢を強いるのはあまりにも過酷です。また、早めに手術を行うことは、他の関節への悪影響を防ぐことにもなります。人工関節や手術手技が進化して再置換もしやすくなっていますから、ご本人が再置換の可能性を納得の上であれば、人工関節手術を受けることは患者さんにとって非常に有用だと思いますし、実際に若年で人工関節手術を受ける方が増えています。
手術を決断するには大きな覚悟が必要だと思いますが、先延ばしにすることによって失ってしまうものも少なくありません。信頼できる股関節の専門医によく相談し、十分に理解・納得した上で手術と向き合ってみてはいかがでしょうか。


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