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専門医インタビュー

関節痛の治療には幅広い選択肢があります 一人で悩まず、専門医に相談を

この記事の専門医

田野倉 誠 先生
  • 田野倉 誠 先生
  • 社会福祉法人聖ヨハネ会 桜町病院 リウマチ関節外科部長
  • 042-383-4111

東京都

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資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
島田 崇史 先生
  • 島田 崇史 先生
  • 社会福祉法人聖ヨハネ会 桜町病院 膝関節外科部長・スポーツ整形外科部長
  • 042-383-4111

東京都

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資格:日本整形外科専門医、日本人工関節学会会員、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)会員

この記事の目次

人工股関節置換術で行われる前方アプローチについて詳しく教えてください

前方アプローチと後方アプローチ

田野倉 身体のどの部分から股関節に進入するかというアプローチにはいくつか種類があります。従来はお尻側から切開して股関節に到達する後方アプローチが一般的でしたが、近年では、太ももの前方から切開する前方アプローチも多く採用されてきています。前方アプローチは仰向けで手術を行い、8cm程度の傷口から筋肉の間をより分けて股関節へと達します。
もともと股関節は、前方に曲がることを基本とした関節で、通常の生活動作では大腿骨頭が後方に押される動きが多く、後方に脱臼する可能性の方が高いのです。前方アプローチの場合、筋肉を切らないために術後の回復が早いだけでなく、後方の組織を一切傷つけず温存できるので、従来の後方アプローチよりも脱臼リスクを低減できる特徴があります。

人工膝関節置換術について詳しく教えてください

全置換術と部分置換術

全置換術と部分置換術

島田 人工膝関節置換術には、膝関節の表面をすべて人工物に置き換える全置換術と、悪くなっている片側(日本人の場合は多くは内側)だけを人工物にする部分置換術の2つに大きく分けられます。変形が比較的小さく、靭帯が傷んでいないこと、ある程度しっかり曲げ伸ばしできることなどいくつかの条件が揃えば、部分置換の適応となります。
膝の場合でも、股関節と同様に、できるだけ体への負担を抑えられるようさまざまなアプローチが開発されています。そのひとつ、アンダー・バスタス・アプローチと呼ばれる術式は、大腿四頭筋を切らずによけながら関節包の一部だけを切って行うもので、術後の痛みが少なく、早期の回復を期待できます。

近年、人工関節の手術はさまざま進歩してきていると伺います

島田 膝も股関節も人工関節そのものの耐久性が延びています。例えば、人工関節では金属と金属の間にポリエチレンを入れスムーズな動きを再現していますが、以前はこのポリエチレンの耐久性が15年ほどでした。しかし近年ではポリエチレンにビタミンEを浸透させることで抗酸化性能を高め、耐久性を高めるためのさまざまな技術が開発されています。これにより、摩耗による破損や体内での腐食を抑えられるようになり、人工関節を25~30年など長期にわたって使い続けられる可能性が十分に出てきています。

田野倉 術中・術後の痛みをコントロールし、患者さんが安心してリハビリに臨めるような取り組みがされてきています。膝も股関節も、術中の大腿神経ブロックに加えて、複数の薬剤を組み合わせたカクテル注射を用いることで、かなり高い除痛効果を得られるようになりました。また出血対策として、最近ではトラネキサム酸を投与することで出血量を抑えられるようになり、もともと貧血の方でなければ、多くの場合、自己血輸血も必要ありません。


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