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専門医インタビュー

早期発見、早期治療が大切 諦めず、面倒がらず、膝の痛みは早めに専門医に相談しましょう

この記事の専門医

横山 光輝 先生

石川県

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資格:日本整形外科学会認定 整形外科専門医・リウマチ医・運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会認定 スポーツドクター、日本手外科学会認定 手外科専門医

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この記事の目次

手術後の合併症とその予防方法について教えてください

人工膝関節の一例

人工膝関節の一例

注意しなくてはならない合併症が感染です。手術直後は問題なくても、半年後や1年後に起こることがあり、腫れや痛みが出ることがあります。そのため、人工膝関節置換術を受けた方は、たとえ足先であってもケガをしないことが大切ですし、糖尿病や肺炎など高熱をともなう疾患になった時はすぐに治療をすることが大切です。
そのほかに注意しなくてはならないのが深部静脈血栓症です。手術後は下肢(かし)に血栓ができやすく、これが血管を詰まらせると、脳梗塞や心筋梗塞、肺梗塞につながってしまうため、超音波エコー検査やDダイマー検査で血栓ができていないかを定期的にチェックします。血栓ができていると判断した場合は、血栓を溶かす薬を服用してもらったり、リハビリを休んでもらったりして、命を危険にさらしかねない重大な合併症を防ぎます。

手術による痛みの緩和方法とリハビリについて教えてください

膝の屈曲角度

手術中に長時間作用する麻酔薬を注入して手術当日の痛みを抑制し、手術翌日には太ももに麻酔薬を注射して手術翌日以降の痛みを緩和します。あわせて硬膜外麻酔を行い持続的に痛みを軽減するなど、二重三重に手術による痛みを軽減させる方法をとることで、ひどい痛みを訴える方はほとんどいらっしゃらなくなりました。
手術翌日から脚の筋力低下を防ぐリハビリを開始し、手術部に貯留した血液を排出するドレーンが抜けたら、理学療法士の指導のもと膝を曲げるリハビリを開始します。病室ではCPM(持続的他動運動機器)を使用しながら膝を曲げる訓練を行い、膝の屈曲角度120度以上を目指します。そして、段差の乗り越えや階段の昇り降りができるようになったら退院となります。

退院後の日常生活で気をつけることや取り組むべきことはありますか?

水中ウォーキング

トントンと階段を降りたり、ジャンプして着地したり、人工関節に衝撃を加える動作は避けるべきです。もちろん、人工関節はしっかりと固定されていますが、想定外の荷重が持続的にかかると徐々に緩みが生じ、再置換のリスクが高まってしまいます。一方で、ぜひ始めてもらいたいのが水泳や水中ウォーキングです。脚の筋肉が鍛えられるほか、肥満の解消にも役立ちます。プールに行けないなら朝晩30回ずつのスクワットを、また、ご高齢などで膝が曲げにくいなら、屈曲角度が90度までのハーフスクワットを行いましょう。
人工関節の安定と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防が同時にはかれる運動として、ぜひおすすめしたいのが“ハーフスクワットかかと落とし”です。膝を曲げて大腿四頭筋に負荷をかけ、伸び上がったらつま先立ちをし、床にかかとを打ちつけて骨に衝撃をくわえます。この運動はふくらはぎの筋肉もつかうため、血流が途絶えて消失した毛細血管、いわゆる“ゴースト血管”の再生にもつながり、血流の改善によって内臓機能の活性化なども期待できます。

膝の痛みで悩んでいる方にメッセージをお願いします。

横山 光輝 先生

膝の痛みで悩んでいるなら、早めに整形外科を受診してください。痛みの原因が早く分かればさまざまな治療法があるだけでなく、早期に治療を行うことで重症化することを予防できます。また年齢を重ねて、もう歳だからダメだろうと諦めないでください。人工関節の手術は80代後半の方でも多く受けています。諦めず、面倒がらずにまずはアドバイスを受けるつもりで気軽に専門医にご相談ください。


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