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専門医インタビュー

膝や股関節の痛みは我慢しないで専門医に相談を 症状を正しく把握することで治療の選択肢が広がります

この記事の専門医

金 永優 先生
  • きん よん 先生
  • 京都市立病院 整形外科部長
  • 075-311-5311

京都府

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専門分野:股関節・膝関節外科(人工関節)、脊椎外科
資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医

この記事の目次

起こり得る合併症とその予防策にはどのようなものがありますか?

術後早期には感染や血栓といった合併症が起こる可能性があります。感染の予防策としては、手術室に入る時は靴を履き替える、手袋はこまめに付け替える、消毒一つ、シーツのかけ方一つにしても確実に清潔を保つといった基本的なことを軽んじず、徹底して行うことが重要だと思います。もちろん手術はクリーンルームで行い、患者さんには適正に抗菌薬を投与します。血栓については必要に応じて手術前後に抗凝固薬を投与します。また、血栓対策には術後早期からのリハビリが有効なので、リハビリをスムーズに行うために痛みのコントロールも重要です。特に膝は股関節に比べて術後の痛みが強い傾向にあるので、神経ブロックや、いくつかの除痛方法を組み合わせた多角的鎮痛アプローチで痛みの軽減を図ります。

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください

歩行器

一般的に膝関節・股関節ともに手術翌日には離床して、可能な人は歩行器で歩く練習を始めます。階段昇降や入浴動作といった患者さんの住環境にあった日常生活動作を習得して、2週間~3週間で退院というのが一つの目標です。股関節の場合、30代40代といった若い年代で手術を行った人は2週間くらいで退院することが多く、デスクワークくらいであれば退院後すぐに職場復帰される方も少なくありません。ただし、物を持って運ぶ仕事や、営業でたくさん歩く人の場合は、退院後1カ月くらいは様子を見てからにしたほうがいいでしょう。

患者さんが人工関節と上手に付き合っていくための留意点はありますか?

関節周囲の筋力トレーニング

股関節の場合は脱臼のリスクがあるので、関節を曲げすぎる動作には注意が必要です。椅子に座ったまま落ちたものを拾うとか、しゃがみ込んで草むしりをするような姿勢は避けたほうがいいでしょう。膝の場合は特に制限はありませんが、正座は人工関節の破損につながる可能性があるので、無理をしてまではやらないでください。手術前に行っていた関節周囲の筋力トレーニングは継続して行うことをお勧めします。
また、膝も股関節もいい状態を長く保つためには、定期的なチェックが欠かせません。どんなに調子が良くても、1年に1回は必ず受診して、人工関節にゆるみなどの異常が出ていないかをチェックしてもらうようにしましょう。

関節の痛みに悩んでいる人や手術を迷っている人へアドバイスをお願いします

金 永優 先生

加齢に伴う変形性関節症の痛みは、基本的に命にかかわる病気ではないので、痛みがあっても我慢して受診しない人も少なくありません。しかし、適切な治療を受けないで痛みや変形が進行してしまうと、外出が困難になって家に引きこもりがちになり、人と接しないことでうつ状態や認知症を引き起こすこともあるといわれています。また、あまりに症状が進行してからでは、手術を受けても期待するほどの効果が得られない可能性もあります。関節に違和感や痛みがあれば、まずは関節の専門医に相談し、関節が今どのような状態なのかを正確に診断してもらいましょう。自分の症状を正しく把握することで、適切な治療の選択肢が広がるはずです。


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