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専門医インタビュー

膝や股関節の痛みは我慢しないで専門医に相談を 症状を正しく把握することで治療の選択肢が広がります

この記事の専門医

金 永優 先生
  • きん よん 先生
  • 京都市立病院 整形外科部長
  • 075-311-5311

京都府

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専門分野:股関節・膝関節外科(人工関節)、脊椎外科
資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医

この記事の目次

人工関節置換術とはどのような手術ですか?

人工股関節の一例(黄色い部分がポリエチレン)

人工股関節の一例(黄色い部分がポリエチレン)

人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)とは、変形して傷んだ関節の表面を取り除き、金属やポリエチレン、セラミックなどでできた人工関節に置き換える手術で、変形や痛みが強く、保存療法では改善が望めない人が適応となります。傷んだ部分を取り除いてしまうので、除痛効果に優れているのが特徴です。近年は人工関節が進化し、いろいろな種類の中から個々の患者さんの関節の状態に応じた人工関節が選べるようになり、高度な変形にも対応できるようになりました。また、軟骨の役目を果たすポリエチレンが摩耗しにくくなったため、ポリエチレンの摩耗粉によって人工関節周囲の骨が解けることが減少して人工関節のゆるみが起きにくくなり、より長期の耐久性が期待できるようになっています。

人工関節置換術の手術手技も進化しているのでしょうか?

ポータブルナビゲーションシステム

ポータブルナビゲーションシステム

膝、股関節ともに、できるだけ小さい皮膚切開で関節や筋肉を傷つけずに行うMISという低侵襲手術が行われるようになりました。この手術は傷口が小さく身体への負担が少ないため、術後の回復が早く、早期の社会復帰が期待できるといわれています。しかし、人工関節置換術で何より大切なのは、人工関節を正確な位置に設置して、できるだけ長持ちさせることです。そのため、狭い術野で手術をしなければならないMISでは不都合が生じると判断したケースでは、傷口の小ささにはこだわらず、従来通りある程度の大きさで切開をして手術を行います。
また最近は、術前に患者さん個々の関節をCTで撮影し、それをもとに3次元画像を作成して、人工関節をどのような角度や位置で設置すればいいかという詳細な術前計画を立てます。さらにポータブルナビゲーションシステムを使用することで、術前計画通りの正確な位置に人工関節が設置できているかどうかを手術中に確認できるので、より正確な人工関節置換術を行うことが可能になっています。

人工関節置換術に年齢制限はあるのですか?

金 永優 先生

変形性股関節症の場合、早い人では30代から痛みがひどくなるケースもあるのですが、約20年といわれている人工股関節の耐久年数を考えると、入れ替えの可能性が高いため、以前はあまり若い年代での手術は行われていませんでした。しかし近年では、他に手段がなく、ひどい痛みで困っている人には、将来的な入れ替えをご本人が納得の上であれば、人工関節置換術を行ってもいいのではないかという流れになり、実際に若くして手術を受ける患者さんも増えています。実は私も人工股関節置換術を受けています。中学生の時に交通事故で大腿骨を骨折したのですが、25歳くらいで股関節に違和感を感じた時はすでに進行期に入っていました。その後、徐々に痛みがひどくなっていき、精神的にもきつくなってきたので40歳で手術を受けたのです。術後は、何をしても痛かった生活が改善し、跛行も目立たなくなりました。もちろん、一生に一度の手術で済ませたいという考えもあるでしょう。考え方は人それぞれですが、若くして手術を受けるという選択肢もあることを、知っておいてほしいと思います。

人工股関節置換術の流れ/人工膝関節置換術の流れ

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