膝の痛み、年齢に関係なく専門医に相談し適切な治療を受けましょう

高位脛骨骨切り術について具体的に教えてください

高位脛骨骨切り術

高位脛骨骨切り術は、普段からスポーツや仕事などの活動性が高く、膝の変形が比較的軽度で、関節の軟骨がまだ残っている方が対象になり、年齢制限は特にありません。手術は、O脚に変形した膝の少し下の部分の脛骨を切り変形を矯正します。それにより、膝の内側にかかっていた荷重（かじゅう）ストレスを中央からやや外側の傷んでいない部分に変化させ、痛みを軽減するという手術で、自分の関節を温存することが可能です。手術にともない血栓などの合併症がありますが、さまざまな対策をとり発生する頻度をさげる取り組みがされています。
手術後は症状が改善すれば、特に日常生活などの活動において制限はありません。近年では、骨を切った部分をより強固に固定するプレートとスクリューが開発されました。それにより、リハビリ期間が以前よりも大幅に短縮できるようになっただけでなく、手術の翌日から体重をかけて歩行する練習が開始できるようになり、早ければ約3週間で退院が可能となっています。

人工膝関節置換術：単顆型（片側型）とはどういった手術なのでしょうか?

単顆型（片側型）
人工膝関節置換術

高齢で変形がそれほど強くなく、膝関節の動きが保たれ、傷んでいる部分が膝の内側に限定している場合は、内側だけを人工関節に置き換える単顆型（片側型）人工膝関節置換術を行うことがあります。単顆型（片側型）人工膝関節置換術は、変形性膝関節症だけでなく大腿骨顆部壊死症（だいたいこつかぶえししょう）にもよい適応になります。
この手術は、後述する全置換術（ぜんちかんじゅつ）と比べ皮膚を切開する長さや骨を切る量が少なく、出血も少ないため術後の回復が早いという特徴があります。また80歳以上のご高齢の方で、内科的な合併症があり手術に躊躇するような場合でも、比較的安全に行うことのできる手術であり、痛みも軽減し可動域の改善もよい手術方法になります。

人工膝関節置換術：全置換術とはどのような手術方法ですか?

人工膝関節全置換術

おもに60代以降の方が対象になる手術で、関節の変形が内側だけでなく全体に進行し、痛みが強い場合に適応になります。膝関節の変形が全体に及んでいるので、膝関節の表面全体を削り人工関節に置き換える除痛効果が高い手術方法になります。
全置換術を受けられる方の多くは、脚の形がO脚に変形している方が多いのですが、手術によって膝の内側にかかっている荷重を正常な位置になるように整えるので、O脚が大幅に改善されるだけでなく、歩容の改善にもつながります。
手術後数日で体重をかけた歩行が可能となるので、リハビリ期間を含めても早ければ3～4週で退院可能です。

人工膝関節置換術のナビゲーションとはどういうものなのでしょうか?

人工関節を適切な位置に設置することは、荷重のバランスを整えるだけでなく、その後の耐久性にも影響を与えると考えられています。ただし手術を受ける患者さんの骨の形や変形度合いはそれぞれなので、その方に適した位置に人工関節を設置する必要があります。そのため、手術前に患者さんごとの手術の設計図を綿密に作成し、その計画通りに手術が進められるよう手術用のナビゲーションを用い手術を行います。
ナビゲーションを使用すると、術前計画通りに骨を切る角度や量、さらに人工関節を適切に設置する位置を瞬時に確認することができるので、従来よりもより正確な手術を行うことが可能になっています。