専門医インタビュー
大阪府
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佐竹 人工膝関節置換術は、変形して傷んだ膝関節の骨の表面を削って取り除き、金属やポリエチレンなどでできたものに置き換える手術で、表面全体を置き換える全置換術と、傷んでいる部分だけを置き換える部分置換術があり、共に除痛効果に優れています。特に部分置換術は靭帯を温存でき、傷口も小さいので術後の違和感がほとんどなく、正常な膝に近い動きが獲得できます。術後の動作制限もほぼないので、活動性の高い人に向いています。
ただし、片側だけが変形している、変形の程度が軽い、靭帯のバランスに異常がない、といった適応条件があるため、誰にでも行えるわけではありません。また、全置換術に比べて人工関節の摩耗が早く、将来的に再手術を行って全置換にする可能性もあるので、主治医とよく相談して決めるといいでしょう。
勝田 手術前にCT撮影を行い、それをもとに三次元の骨の立体モデルを作成します。それをもとに、どのような人工関節が適切かを何度も何度も術前に計画をたてます。その計画通りに人工膝関節を正確な位置へ設置し、靭帯のバランスを整えることをサポートするのがナビゲーションシステムです。
佐竹 ナビゲーションは、術前計画通りに骨を削る量や設置角度の精度を高めるために非常に有用なツールです。しかし手術前には、靭帯の硬さなどの状態はわからないので、ナビゲーションを参考にしながら、必要があれば、硬くなった靭帯のバランスなどの修正を加え、緩むことなくしっかりとした膝になるようにします。
佐竹 患者さんが希望し、術前の検査で問題がなければ両方の膝の手術を同時に行うことは可能です。手術時間は片側手術の2倍かかりますが、全身麻酔や手術、入院は1回で済みますから、患者さんの負担を軽減するメリットはあるといえるでしょう。ただし、片側の手術の場合と比べ、出血量が増えるので、術後に貧血が予想されるので、ある一定の条件をクリアした人でしたら実施可能です。
人工膝関節全置換術後の
レントゲン
勝田 感染は避けなければならない重篤な合併症の一つですから、徹底した予防策が重要です。糖尿病や水虫、肌荒れ、虫歯などは感染リスクを高めるので、術前にしっかりとコントロールやケアをしておく必要があります。また、手術は清浄度が高く圧管理のできるクリーンルームで専用の手術着を着用して行うなど、菌が患者さんの体内に入らないための環境整備に、できる限りの努力と整った設備で行うことが大切だと考えています。
佐竹 以前では手術後の痛みの対策方法も少なく、術後の痛みはガマンするものという時代でした。しかし現在では、手術の傷口を閉じるときに、数種類の痛み止めを混ぜたカクテル注射を患部に行い、手術後も点滴から定期的に痛み止め薬を流すなど様々な方法がとられています。そのため、手術を受けた人からは思ったよりも手術の痛みがないと言われる人もいます。痛みをかなり抑えることができるようになっているので、術後早期からスムーズにリハビリを行うことが可能になっています。
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