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専門医インタビュー

膝の痛みは諦める前に受診を! 自分の膝を知ることが改善への第一歩です

この記事の専門医

中村 卓司 先生

東京都

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職位:東邦大学整形外科学講座(大森)准教授
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会リウマチ医

この記事の目次

手術後のリハビリにはどのような心構えで臨めばいいですか?

人工膝関節の手術は、多くの患者さんに福をもたらした術式のひとつですが、決して小さな手術ではなく、手術に伴う痛みも比較的強い部類に入ります。通常、手術の翌日からリハビリに入りますが、痛みのピークといわれるのは術後二日間程度です。ただし、病院では麻酔科医などと連携して痛みのコントロールをしっかり行いますので、多少の辛さはあってもがんばって欲しいと思います。術後数日を過ぎると、痛みは徐々に和らいでいきます。
手術を受けること自体もそうですが、リハビリに取り組む上でも大事なのは目標を持つことです。リハビリが無事に終わって以前のようにしっかり歩けるようになったとき、一番したいことは何でしょうか? 孫と旅行に行きたい、自転車に乗りたい、以前楽しんでいたスポーツを再開したいなど、目標がはっきりしている人ほど前向きにリハビリに取り組んでいらっしゃる傾向にあります。

退院後、どのようなことに気をつければ良いですか?

ゴルフの写真

転倒には気をつけていただきたいですが、それ以外で日常生活上の大きな制約はありません。痛みが取れたことへの患者さんの喜びは大きく、テニスやスキー、ゴルフ、乗馬などさまざまな趣味を楽しまれています。唯一、外来で患者さんにお話ししているのは、感染症のリスクを忘れないでほしいということです。無事に手術が終わり活動的な生活が戻ると、皆さん手術時の合併症としていわれる感染症については忘れてしまいますが、ごくまれに「遅延性感染」が発生しています。これは、ひどい虫歯や風邪をこじらせて増殖した菌が血液を介して人工膝関節に付着するというものです。人工膝関節は金属製で免疫力がないため、手術後数年経っていても感染症を起こすことがあり得ます。
対策は、定期的に歯科検診を受けて口腔ケアに努めること、風邪などで体調が優れないときはひどくなる前に医療機関を受診することなど、決して難しくはありません。通院で治るような虫歯や軽い病気なら特に気にする必要はなく、早め早めの対策で入院しなければならない大きな病気を防ぐことが重要です。

膝の痛みに悩む患者さんにメッセージをお願いします。

中村 卓司 先生

膝の痛みの原因はさまざまですが、現在ではレントゲンやMRIを含め検査の精度が上がっているので、一度受診するといろいろなことがわかります。何が原因かを特定できれば、その対策も取れます。「病院に行くとすぐに手術を勧められてしまう」などと思い込んでいる患者さんも中にはいますが、実際にはそのようなことはなく、保存療法も確立されており、すべてのケースで手術が必要なわけではありません。
また、高齢になると内科系の病気を抱えてる人も多いかと思います。特に、脳梗塞の予防で血液をサラサラにする抗凝固剤を服用している場合など、大きな手術の前には薬を止めなければならないと聞いて不安を感じる人もいるかもしれません。ただ、麻酔方法を変えることで服用を止めないままに手術するなど、病院によっては合併症のリスクを抑えた対応もできますので、諦めないでほしいと思います。
治療すれば良くなるものを「年齢のせいだから仕方ない」と諦めるのはあまりにもったいないです。痛みによってご自身の生活の質が下がっている自覚があるのであれば、ぜひ一度専門医に相談してください。




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