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専門医インタビュー

股関節の痛みまずは保存治療を十分に試し納得した上で手術に向き合おう

この記事の専門医

角田 俊治 先生

長野県

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専門分野:整形外科一般、股関節外科、外傷外科
資格:日本整形外科学会専門医、日本股関節学会会員、日本人工関節学会会員

この記事の目次

術後から退院までの流れと、退院後の留意点を教えてください

歩行器の写真

手術翌日から歩行器を使って立位歩行訓練を始めます。個人差はありますが、歩行訓練、筋力訓練などで歩行距離を延ばし、関節の可動域を広げるリハビリや日常生活動作の練習などを行い、最終的に階段昇降と入浴動作ができることを退院の目安としています。入院期間は2週間から3週間。両側同時手術の場合は、1週間くらい長くなります。退院の段階で杖なしで歩ける方もいます。また、高齢者の場合は、家庭環境なども考慮し、リハビリ病棟に移って頂いて、じっくりとリハビリを行ってから退院していただく場合もあります。
退院後の動作制限はほとんどしていません。自転車や車の運転も大丈夫です。ただ、農業や土木関係の仕事をしている人には、重い荷物を抱えて長時間歩くような重労働は人工関節が摩耗するリスクが高くなるので、控えるようにと話しています。制限しているスポーツも基本的にはありませんが、さすがに、毎日何十キロも走るようなことはやめてほしいですね。ウオーキングは筋力をつけるためにも有効なのでお勧めです。

人工股関節置換術に適応年齢はありますか?

全身状態に問題がなければ年齢の上限は設けていません。90代でも手術は可能です。また、若い人に関しても年齢制限は設けていません。人工股関節の耐用年数を考慮して60歳以上を手術適応としていた時代もありましたが、痛みのある40歳の人があと20年間も我慢しなければならないというのでは、あまりにも辛すぎます。再置換の可能性はありますが、手術手技は年々進歩しており、再置換もしやすくなっています。人工関節の耐久年数も今後はさらに延びていくことでしょう。
退院後に何よりも大切なのは、定期検診を必ず受け、何か異常があれば早目に対処することです。人工関節にゆるみや摩耗が見つかった場合でも、対応が早ければ、人工関節すべてを再置換するのではなく、摩耗した部分だけを入れ替えることも可能です。退院後3カ月は毎月、その後は術後半年、1年でチェックを受け、それ以降も、どんなに調子が良くても半年~1年に1回は、必ず検査と診断を受けるようにしましょう。

股関節の痛みに悩んでいる方へメッセージをお願いします

角田 俊治 先生

股関節周囲に痛みを感じていても、必ずしも変形性股関節症だというわけではありません。他の病気が隠れていることもありますから、まずは、専門医を訪ねて痛みの原因を調べてもらい、症状に応じた適切な治療を受けることが大切です。
変形性股関節症だと診断され、手術の適応だといわれても、手術をするかどうかを決めるのは患者さん自身です。まだ手術をしたくないと考えているのであれば、緊急性がない限り、いろいろな保存治療を試してみていいと私は考えています。
当院で行っているPSTRエクササイズも3カ月を目安に有効性を評価していますが、効果がなければ、患者さん自身が納得して手術に対して前向きな気持ちで、向き合えるようになっていられますね。人工股関節置換術は、短期間で痛みや歩行能力を改善させることが可能な治療法で、「痛みなく歩ける生活が取り戻せた」「好きなときに買い物に行ける」「旅行に行けるようになった」という喜びの声も多く寄せられています。
信頼できる股関節の専門医によく相談し、十分に理解・納得した上で、手術を考えるといいでしょう。


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