専門医インタビュー
埼玉県
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大腿四頭筋
変形性股関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。治療の流れとしては、まず、保存療法をしっかりと行うことが大切だと考えています。変形性股関節症の保存療法としては、鎮痛剤の服用や筋力トレーニングがあります。筋トレで鍛えるのは、大臀筋や中臀筋などお尻の筋肉や、大腿四頭筋という太ももの筋肉などです。ただし、専門家の指導の下に行う必要がありますので、当院の場合は、患者さんの希望があれば、通院だけでなく入院をして集中的にリハビリを行えるような体制を整えています。さらに、日常生活の中で股関節に負担をかけないことも大切になります。例えば、階段の登り降りやしゃがみ込むという姿勢は股関節に負担がかかるのでなるべく避け、イスやベッドを使った洋式の生活スタイルに変えていくとよいでしょう。
また、過体重であれば減量により股関節への負担軽減になるのですが、そもそも痛みがあれば運動しづらいでしょうし、過度な運動によって股関節に無理な負担がかかってしまうこともあるので私自身はあまり強く言うことはありません。私は、患者さんには、食事の工夫などできる範囲でのダイエットを勧めています。
手術をしたほうがいいといえるのは、痛みによって歩く距離が制限されたり、夜間、寝ているときにも痛むような場合と考えています。
変形性股関節症の手術には、大きく、骨切り術と人工股関節置換術があります。一般的に、20代、30代の若い人や変形性股関節症の初期の場合は、骨切り術を提案されることがあります。
骨切り術は、患者さんの骨を切って移動させるため、骨がつくまでに時間がかかりますが、適応を間違えなければ治療成績が良い手術です。ですが骨が完全につく時間は年齢によっても違いますので、入院期間は手術後1.5~2ヵ月、社会復帰までに半年~1年かかることがあり、術後、後療法が長期になります。
それに対して人工股関節置換術は、股関節外科医なら良い術後成績が出せるような一般的な手術になってきています。技術の進歩でインプラント自体の性能も上がり、耐久性が伸びていることで、最近は40代くらいの若い人に行っても問題はないといわれています。
骨切り術
人工股関節置換術後のレントゲン
今の時代、仕事をしている女性も多く、40代だと子育て中の人も少なくありません。骨切り術は治療成績の良い手術ではありますが、社会復帰までに長期間かかってしまいます。
人工股関節置換術だと、早い人で2~3週間で退院できてしまいます。しかも、人工股関節置換術は、痛みの原因になっている部分をそっくり取り除いて人工物に置き換えるので、痛みの早期改善効果が高いのです。手術時間も骨切り術に比べると人工股関節置換術のほうが短いので、その分、体への負担も少なくすみます。もちろん、治療内容を決めるのは患者さん自身ですから、骨切り術の適応がある場合は、人工股関節置換術と双方のメリット・デメリットをよく主治医の先生から聞いて、選択するのがいいと思います。近年は若い患者さんの中でも人工股関節置換術を選択される方が多い印象を受けます。
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