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専門医インタビュー

健康長寿の秘訣は自分の脚で歩くこと膝の痛みは専門医に相談しましょう

この記事の専門医

三好 信也 先生
  • 三好 信也 先生
  • 倉敷成人病センター 整形外科部長
  • 086-422-2111

岡山県

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専門分野:関節外科、コンピューター支援外科、整形外科外傷
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本体育協会スポーツ医

この記事の目次

手術にはどのような種類があるのですか?

骨切り術

骨切り術

半月板損傷が原因で発症した変形性膝関節症の初期であれば、関節鏡を用いた手術で、すり切れた半月板やささくれた軟骨などを取り除いて関節内をきれいにし、痛みや変形の進行を抑えます。
40代~50代で変形が比較的少なく、関節の内側か外側のどちらか片方だけが悪い(日本人は主に内側)場合には、脛の骨を切って変形を矯正し、軟骨が残っている側に体重がかかるようにする骨切り術を行います。軟骨がすり減っている側にかかる体重が軽減することで、痛みが軽減されます。人工のものを使わない手術ですが、自然治癒力を使って治していくために回復には時間がかかり、切った骨が完全に癒合するには3カ月程度かかります。入院期間も1カ月は見ておいたほうがいいでしょう。しかし、術後6カ月以降で膝の状態に問題がなければ、マラソンやトライアスロンといった激しい運動や肉体労働も可能になるのが骨切り術の特徴です。活動性が高い生活を続けると、どうしても軟骨が減少していくため、必ずしも一生持つとはいえませんが、次の段階として人工関節も選択できるので、活動的な生活を優先したいという方には、向いているのではないでしょうか。軟骨がほとんどなく、関節を温存できる骨切り述の適応にならない方には、人工膝関節置換術を検討することになります。

人工膝関節置換術とはどういった手術なのでしょう?

人工膝関節部分置換術後のレントゲン

人工膝関節部分置換術後の
レントゲン

人工膝関節置換術とは、変形して傷んだ関節の表面を取り除き、金属やポリエチレンでできた人工関節と置き換えることで、痛みを取り除く手術です。症状に応じて、膝関節全体を置き換える人工膝関節全置換術か、傷んでいる片側だけを置き換える人工膝関節部分置換術が行われます。全置換術は基本的に十字靭帯を切除しますが、部分置換術は十字靭帯を温存するうえ、傷口も約6センチと小さく、骨を削る量も少ないので、術後の痛みが少なく、より早期の回復が望めます。当院で行っている人工関膝節置換術の約50%は部分置換術ですから、全国レベルで考えても、全置換術を行わなくても部分置換術で対応できる患者さんが、もっと多く存在しているはずだと思いますね。手術時間は全置換術で約1時間半、部分置換術では1時間程度です。
人工膝関節置換術では、人工膝関節を正確な位置へ設置することが何よりも重要で、それをサポートするツールとしてナビゲーションシステムがあります。骨を切る適切な角度をコンピューター画面に数字で表してくれるので、非常に正確な手術を行うことができます。人工膝関節を正確な位置に設置できるかどうかは、術後の耐久性に大きく影響するため、ナビゲーションの存在はとても有用だといえるでしょう。

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください

photo(歩行器)

手術翌日には歩行器を使って歩行練習を開始します。基本的にベッドサイドから数メートル歩くのを基準にしているのですが、この段階で100メートル歩行できる人もいます。1週間もすればほとんどの人で歩行器は必要なくなり、階段昇降の練習に移ります。手すりを使ってもいいので、階段の昇り降りができるようになることが退院の基準です。なぜなら、退院すれば外出時には段差がつきものだからです。手すりを持ってでも階段の昇り降りができていれば、多少の段差は、つかまるところがなくても対応できるはずです。当院では、部分置換術では約80%の人が10日で、全置換術では同じく約80%の人が2週間で退院しています。神経ブロックや術中の関節内への痛み止めの注射、さらに術後の痛み止めなどを使って疼痛をコントロールすることで、早期からのリハビリや入院期間の短縮が可能になっています。
退院後は、定期的に受診していただき、傷の状態や痛み、膝の曲がり具合、日常生活の様子、人工関節にゆるみや摩耗などの異常がないか、きちんと機能しているか、などをチェックしてもらいしましょう。


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