専門医インタビュー
大阪府
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鍵山 リハビリは、早く開始したほうがいいのです。寝ている時間が長いと、足の血管が詰まる深部静脈血栓症が起こりやすいし、早く動かしたほうが回復が早いのは間違いありません。
手術後のリハビリをスムーズに行うためにも、痛みに対する処置には力を入れています。手術中に痛みが起こると思われる部分に、何種類かの局所麻酔や痛み止めの薬を混ぜたものを注射(カクテル注射)することで、手術後の傷の痛みはずいぶん楽になります。痛みが軽ければ、リハビリも順調に進めることができます。
手術の翌日から、積極的なリハビリ、全部の体重をかけて歩く練習をします。筋力アップ、膝の曲げ伸ばしの練習は、制限なくどんどんやってもらいます。この期間の患者さんの頑張り、リハビリトレーニングが大事だと思います。
吉田 UKAを行った方のリハビリもTKAを行った方と同じようなリハビリプログラムを行って頂いていますが、手術前の膝の状態が良いので、術後の回復が早いです。術後の疼痛コントロールをしっかり行っているので、昔ほど術後の痛みを感じにくくなっています。
人工膝関節の一例
鍵山 膝をついたまま動くようなことはしないようにと注意していますが、特にしてはいけない動作や姿勢はありません。正座はできたとしても、お勧めしません。
その理由は、膝関節の動きは単純な曲げ伸ばしではなく、曲がる時に少しひねりの動作が加わり、正座をするときは外側のほうが少し脱臼しかかる感じになるのではないか、というのです。
また、特殊なコンタクトスポーツでなく、レクリエーション程度のスポーツなら問題ないし、その年齢の方がする活動なら特に制限はありません。近年、人工関節の性能が良くなり、耐用年数は非常に伸びていますから、50代、60代で手術をしても入れ直す必要はない、という可能性が極めて高くなっています。
吉田 何歳になっても皆さん活動的ですから、「もっと、もっと自由に活動して下さい」というのが人工膝関節置換術の狙いです。術前に行っていた活動に関しては、制限がありません。
鍵山 手術を受けた人は、1年に1~2度、どんなに調子が良くても定期的に受診してもらっています。もし人工膝関節に不具合が生じても、必ずしも痛みが出るわけではなく、レントゲンで早めにわかることが多いのです。ひどくなる前に、適切な処置を行うことができます。
手術後の受診では「2度目の人生を楽しんでいます」と喜ぶ人がほとんどです。バス旅行や買い物にもどんどん出掛けて、生き生きと過ごしているようです。
吉田 痛みを我慢しながらやっていたことが、手術後は同じ動作が楽にできるようになるのです。ほとんどの方は「もっと早く受けていればよかった」とおっしゃいます。痛みがなくなるだけでなく、長い距離歩けるし、膝の状態は手術前よりは圧倒的に良くなって満足度は高いと思います。
鍵山 博士 先生(左)と吉田 博一 先生(右)
鍵山 絶対に手術は嫌だという人もいます。動けないくらい痛みが強くても、手術は嫌というなら仕方がありません。
その人なりの方法で対応、サポートをしてあげたいと思っています。案外多いのが、配偶者や親の介護を抱えているなど、いろいろな事情がある人です。手術を受けたくても、そのタイミングがなかなか取れない、この期間を逃したらできないという人もいますから、総合的に考えて何とか手助けをしていきたいと思います。
吉田 膝の痛みがひどくならないうちに、筋力強化の運動を続けましょう。膝関節の変形が進んで動けなくなると、心身の健康状態が悪くなるだけでなく、頭の活性化も図れなくなります。高齢の人が一定期間以上動かないでいるのは、直接命に関わるわけではないけれど、かなりの危険性があると考えたほうがいいと思います。痛みがあれば、早めに専門医に相談しましょう。
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