専門医インタビュー
千葉県
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激しい痛みだけでなく動きづらさを抱えて、長年悩んでいる人が多い変形性股関節症。手術はしたくないけど、手術をしたほうがいいのか、そのタイミングはいつなのか、他の治療法はないのかと悩んでいる人も多いはず。「ご自身の状態や日常生活の状況などを加味しさまざまなことを提案します。」とおっしゃる、関節の専門医・大前隆則先生が、丁寧にこたえます。
正常な股関節と寛骨臼形成不全
股関節の痛みで多いのが、変形性股関節症。「この1年のうちに股関節が痛むようになった」という人の方が珍しくて、「もう10年も前からずっと痛かった」とか、「若い頃、スポーツをした時によく痛くなっていた」という人がほとんどです。特に日本では、股関節の手術をした女性の8~9割は、もともと寛骨臼形成不全がある人で、股関節が痛くなりやすいことが自分でも分かっていると思います。
股関節の痛みの原因は、ほかにも大腿骨頭壊死や関節リウマチの場合もあります。さらに、骨粗しょう症で背骨の圧迫骨折を起こしたために骨盤の傾きが変わってしまい、そのせいで臼蓋の覆いが浅くなって股関節の変形が始まったという高齢者も多くみられます。慢性的に腰痛があったけれど、数カ月の間に股関節が相当痛くなり手術にまで至るケースです。高齢化社会の影響かもしれません。
水中ウオーキング
変形性股関節症の場合、股関節の炎症が強くなり関節の隙間、軟骨が少なくなります。クッションの役目をしている軟骨がなくなると、骨と骨がぶつかって痛みが増して、さらに股関節の変形が進んで骨が硬くなっていくのです。
股関節を動かさなければ痛みは感じないのですが、筋肉が落ちてしまうだけでなく、股関節が動く範囲が狭くなります。そのため、股関節を曲げる、開くなどの可動域を保持する運動を続けて下さい。
具体的には、痛みを取るための消炎鎮痛剤を使いながら、股関節を動かし、筋力を維持する訓練として、直接軟骨へ負担がかからない水中ウオーキングや、自転車こぎなどを勧めます。頑張ってウオーキングをする人もいますが、股関節に過度な負担がかかりすぎると、かえって軟骨が傷むスピードが進んでしまいますので、あまり無理はしないようにしてください。
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