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専門医インタビュー

手術に踏み切るタイミングは患者さんのライフスタイルを頭に描いて

岡崎 賢 先生

東京都

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福岡県出身、1993 年九州大学医学部医学科卒業、同大学院医学系研究科修了。2000 年米国ワシントン大学整形外科留学、 帰国後、九州大学病院医員に。同大学院医学研究院助手(次世代低侵襲治療学)、助教、講師、准教授を経て、2017 年現職に

この記事の目次

変形性膝関節症と診断された人、全員が手術に至るわけではないけれど、「むやみに手術を怖がることはない」と話すのは東京女子医科大学病院 整形外科教授の岡崎賢先生。手術の方法も一つだけではないし、ふさわしいタイミングも人ぞれぞれです。すっかり膝の関節が変形して硬くなり、動きが悪くなる前に、早めに専門医に相談して、後悔のない人生を送りましょう。

加齢とともに、半月板や軟骨が傷む

膝の構造

膝の構造

中高年の膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症によるといわれていますが、始まりは、加齢に伴う半月板の損傷の事も多い。年齢とともに少しずつ半月板が傷んできて、そのうちだんだん軟骨に影響が出てきます。
一般的には、膝を曲げたり伸ばしたりする時、あるいは階段の上り下りの際に痛みを感じるというのが初期の段階です。この時期はレントゲン上の異常は見えないこともありますが、MRI を撮って半月板の状態を確認することもできます。基本的に、3カ月間も症状が持続するようなものは、器質的な病変があると思われます。
進行の度合いは人それぞれ。中には骨壊死症など、急速に悪化する膝の痛みもありますが、多くは年単位でゆっくり悪くなっていきます。痛みの感じ方も人によって違うとはいえ、あまり我慢しすぎないで。膝が痛くて動かしづらいと感じたら、整形外科を受診してください。

減量と筋力アップが基本

足底板と関節内注射

足底板と関節内注射

変形性膝関節症と診断された患者さんの場合、基本的に体重コントロールを含めた生活指導と、筋力強化の訓練などの保存療法を指導しています。
膝のためには、体重が重すぎないほうがいいのは明らかです。でも「減量しましょうと言っても、そう簡単には減らせるものではないでしょう。痩せるのは手術よりも難しいものですから。 そういう基本的な指導に加えて、足底板の使用を勧めたり、状態に合わせた痛み止めの内服薬や湿布を処方します。
そのうえでステロイドやヒアルロン酸の関節内注射も有効です。これらが保存療法の基本、手術を行わない方法です。しかしこれらはあくまでも対処療法になりますから、根本的な治療ではありません。

手術について教えてください

手術にもいくつか選択肢があります。比較的年齢が若く、活動的でスポーツもしたい、元気な世代の人には骨切り術を勧めます。軟骨が完全に擦り減る前、ある程度残っている段階で、O脚がひどい人に有効な手術です。
脚がまっすぐになるので、膝に負担がかかりにくくなり、痛みもとれます。人工膝関節とは、傷んだ関節の代わりに人工のものを入れて膝の機能を取り戻す方法ですが、これには、部分置換と全置換の二つの方法があります。
変形性膝関節症は、膝の内側に荷重がかかりやすく、内側の軟骨がすり減って痛くなります。まだ変形が外側に及んでいない時期に、悪くなった関節の内側の部分だけを削り人工のものと置き換える方法が部分置換です。変形がまだ軽い段階で、激しいスポーツなどはしない、自分の足で歩ければいいという人に勧めます。回復も早いし、より自然な膝の動きが得られるので、患者さんの満足度も高い手術です。
膝関節の変形がさらに進行してしまったら、関節全てを人工のものに取り換えるのが全置換です。大腿骨と脛の骨にインプラントを埋め込み、その間に軟骨に代わるものを入れる手術です。歩くのもつらかった痛みが軽くなります。


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