専門医インタビュー
理学療法士によるリハビリ
手術によって変形した関節を使いやすい関節に取り換えることは可能ですが、長い間、痛みのために使われずに弱った筋肉まで治すことはできません。疼痛が改善しても筋力がつくには半年~1年ほどかかることもあります、手術前から筋力を落とさないように注意すると共に、手術後も早い時期からリハビリテーションを開始することが大事です。手術後は硬膜外麻酔や鎮痛剤を使って疼痛をコントロールしながら、早期のリハビリをすすめていきます。
歩行器を使ったリハビリ
リハビリは、手術後翌日から開始され、数日で起立、歩行訓練が始まります。1週間程度で杖を使っての歩行が可能となり、標準的には3週間程度で退院できます。回復が早い場合や施設によっては2週間程度で退院することもあります。施設によって考え方やシステムが異なりますので、事前に説明を聞いてしっかりと理解しておいてください。退院する時点では、ある程度の長距離歩行、階段昇降が可能になっています。入浴や床からの立ち上がり、ズボンや靴下の着脱など、日常生活に必要な動作の訓練もします。
なお、高山は古い日本家屋の特徴を多く残す旧家が多い土地柄ということもあるため、これらの和式の生活に合わせた訓練も行うと共に、椅子やベッド、洋式トイレなど生活環境を整えていただくこと、そのための介護保険補助の相談などにも応じています。
術後数カ月間は、脱臼に注意してください。脱臼しやすい姿勢は手術方法によってもことなりますが、股関節を深く曲げたり、捻ったりといった動作には注意が必要です。リハビリの先生からも日常生活において気をつける動作について説明がありますので、これらの注意事項は必ず守るよう心がけて、安全な生活を送ってください。
40代50代で手術される方は高齢の方に比べて活動量が多いため股関節への負担が多くなります。人工関節を長くもたせ、再置換を避けるためには、普段からより大事に使っていただくことが大切です。痛みが取れたからといって激しい使い方をすれば、早く傷んでくる可能性があります。人工関節は器械であることを忘れずにうまく付き合っていく心構えが重要です。
以前は手術が怖くて痛みを我慢している方が多かったものですが、最近は雑誌やインターネットなどで情報を得て、手術を受けてみたい、説明を聞きたいという積極的な患者さんも増えてきました。変形性股関節症と診断された方すべてが、この手術を受ける必要はありません。しかし、この病気による痛みで毎日苦しみ、活動も制限されている方が保存的治療で解決できない場合、明るく健康な生活を手に入れるためには非常に有効な治療方法の一つであることは間違いありません。手術のメリット・デメリットを理解した上で、豊かな人生を取り戻す手段として検討していただきたいと思います。
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