専門医インタビュー
最近はMIS(最小侵襲人工関節置換術)という、できるだけ小さい皮膚切開で手術を行う方法が注目を集めており、当院でも8割以上を占めています。なるべく大腿の筋肉を切らず、傷口も従来15〜20センチだったものをその約半分(約7〜10㌢)で処置します。曲がる角度は通常の人工膝関節と変わらない一方で、傷口も目立ちにくく、より回復が早いため、早めの社会復帰も可能になっています。
人工関節形成術は、骨切り手術などに比べて入院期間が短く、また効果がはっきり出るのが特徴です。術後は回復も早く、手術後3~4日で歩行可能になります、具体的には、術後1,2日目で下肢伸展挙上運動や膝関節屈伸運動、術後2~4日目で端坐位での膝関節屈伸運動、術後2~3日目で車椅子への乗り移りなどを行っていただきます。
その後、術後1週間でステッキでの歩行、2週間でステッキを使って階段の上り下りもできるようになり、3〜4週間で退院するのが一般的です(患者さんの症状によって異なります)。退院後は、転倒や膝を強くねじるような動作は避けるよう気を付けてください。脱臼や靱帯損傷の原因となります。また、人工関節の状態を確認するため、1年に2度は定期検診を受けるようお願いします。なお、荷重については特に気にする必要はなく、全荷重で踏んでいただいて問題ありません。
膝の痛みは千差万別です。膝に違和感や痛みを覚えたら、できるだけ早く近くの整形外科を受診してください。医療機関では、X線検査、もしくはMRIや&CTなどの検査を受け、ご自身の現時点における膝の状態を正しく診断してもらって下さい。その際、治療のメリット、デメリットなどについて十分に聞いてください。
治療は、まずは保存的療法をきっちり行い、それでも十分な効果が出ない場合は手術を含めた治療を考えましょう。人工膝関節形成術は手術の成功率も高く、まず患者さんにすすめられる手術の一つであり、実際に母親の手術も私が行いました。QOL(生活の質)を高める手段として、選択肢の一つに考えてみてください。「旅行も行ける」「孫とも遊べる」「買い物も行ける」-自分で何でもできることは、何事にも代え難い幸せです。
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