専門医インタビュー
治療法には、保存的治療と手術的治療の大きく2種類があります。保存的治療は主に症状の軽い方に行われます。具体的には、自分で行う治療(主に日常生活で行っていただく治療)として、体操も含めてご自身が日常生活で行っていただく治療をお願いします。また、減量(ダイエット)や補助具の利用(足底板、膝の装具ならびにステッキ等)など、日常生活の工夫も指導します。一方、医療機関では、ヒアルロン酸の関節内注射や飲み薬などの投薬や、膝上の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える運動療法などといった治療を行います。
症状の重い方や保存的療法を数か月続けているが痛みが改善されない方の場合は、まず内視鏡を用いた低侵襲な鏡視下手術や膝付近の骨を一部切除して骨移植を行った後、金属等で固定して下肢全体をX脚に矯正してO脚を治す手術を行います。特に症状がひどい場合や広範囲におよぶときは「人工膝関節形成術(人工膝関節置換術)」という手術を行います。
人工膝関節形成術の術中写真
これは痛みを伴う膝関節の関節面の骨を削り、人工物に置き換える手術です。日本全国で、年間約7万件も行われており、手術法もしっかり確立されている安全性の高い手術と言えると思います。膝が痛くなると、動かない→食べるのが楽しみ→肥満→更に膝痛が悪化、という「負のスパイラル」に陥りがちです。具体的には散歩等の歩行を避けるようになる、買い物に出かけなくなる、孫と遊べない、旅行・遠出が苦痛になる、趣味・仕事などから遠ざかるなどがあげられます。それらを断ち切り、早期に痛みから解放するという点で非常に期待が持てるという特徴があります。特に、痛みが強く、日常生活に支障を来しているような方にはおすすめの治療法です。治療には公的医療保険が適用されるほか、高額療養費制度も利用できます。当院では、実際にお支払いただく費用等を一覧表にしてご説明しています。
なお、手術には輸血が必要になる場合もあります。また、手術には感染症や下肢深部静脈血栓、肺塞栓症などの危険が伴います。手術は決してプラス面だけではではありませんので、事前のインフォームドコンセントをしっかり受けることが重要です。
人工膝関節はコバルトクロム合金やチタン合金などの金属と軟骨の役割をする高分子量ポリエチレンからできており、耐用年数は15〜20年といわれています。しかし近年、材質も性能も向上しているため、耐用年数はさらに延びるのではないでしょうか。65歳以上の方であれば、入れ替え手術の可能性も高くないと考えております。
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