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患者さんストーリー

もう一度、人生を楽しみたい。

股関節

安木 ようこさん

安木 ようこさん

病名 寛骨臼形成不全(両足)

治療法 人工股関節置換術

コンテンポラリーダンスの講師としてアクティブな日々を過ごす安木さん。滑らかな動きでダンスを披露してくださったものの、手術前は歩くのもままならぬ状態で痛みを我慢して暮らされていました。手術を受けることになるまでの経緯、術後の経過、手術を受けてからどう感じているかなど、詳しくお話をしていただきました。

股関節に痛みや違和感が出たのはいつ頃ですか?
正常な股関節 寛骨臼形成不全

安木さん 子供の頃からモダンダンスをしていて、その他にもスノーボードクロスの大会に出るなど、かなりアクティブにスポーツをしていました。
スノーボードクロスのシーズンオフのトレーニングとしてウェイクボードを取り入れていたのですが、その時に右の股関節を脱臼する事故にあってしまいました。その治療を受ける中で、私の股関節は寛骨臼形成不全なんだと初めて知りました。
寛骨臼形成不全があっても特に痛みは気にならなかったので、コンテンポラリーダンスを踊ったり生徒に教えたりと、ダンスのない生活は考えられませんでした。私を含めダンスをされる方は、開脚したり脚を大きく蹴り上げたりするなど股関節に負担をかける動きが多く、股関節を痛めている方が多い印象です。それでも皆、痛みを乗り越えよう、痛みを我慢して頑張っている私が好き、って変な我慢大会みたいになっていたんですよね。ただ、40代に差し掛かる頃から、かなり痛みが出てくるようになって脚の動きが悪くなってきました。

股関節が痛くて辛かったのはどんなことでしたか?

安木さん 動けないことが辛かったかな。40代中頃までは脚を引きずりながらもスノーボードができたんですが、そうこうしているうちに歩くのも辛くなって。ほんの数歩くらいの距離にあるものでも「それ取って」と人に頼んだりトイレに行くのも嫌になったりしてました。
整形外科に通院しましたが、私の場合は保存治療で改善される状態ではなかったようで、効果がありませんでした。その頃に人工股関節置換術を受けたほうがいいのでは、とアドバイスを受けたこともあり、あちこちの病院に行ってみました。
人工股関節にすれば痛みが軽くなるということは聞いていて、そうなったら楽になるんだろうなとは思っていました。けれど、手術後に脱臼リスクがあるので、靴紐を結ぶのは気を付けてなど行動を制限されることが嫌でした。行動制限されてたとしても、不意に動くこともあるし、もうちょっといけるんじゃないか、とそれ以上のことをやろうとする性格だということは自分でも分かっています。だとしたらきっと私の性格的に脱臼するんだろうなと思って、当初は手術を諦めていました。

どうして人工関節置換術を受けようと思ったのですか?

安木さん 手術を諦めていた時に、人工股関節置換術を受けたバレエ講師の知人が「運動制限がかなり少ない手術方法があるみたいよ。」とある整形外科を紹介してくださったんです。そこで先生に「この動きは大丈夫か?この姿勢をとっても脱臼のリスクはないか?」など事細かに質問したところ、大丈夫だよ、と。手術の方法についても「股関節の前方から切って、筋肉を切らないようにしながら人工股関節を入れて、脱臼しないかどうかを麻酔で寝ている状態の時にあらゆる方向に動かし点検する」と説明してくださり納得ができたので、2018年の年末にまず右股関節の手術を受ける決意をしました。

股関節の前方から切って、筋肉を切らないようにしながら人工股関節を入れる方法
手術後は、どのような様子でしたか?
安木 ようこさん

安木さん 入院中の同じ病室には、人工股関節置換術を受けた高齢の方が多かったのですが、手術の翌日には杖を突いて歩いている方がほとんどでした。私は手術の痛みのせいで術後4日くらいから杖を突いてのリハビリを始めましたが、立ち上がってからの回復は早かったですね。リハビリ室にバレエをしていた先生がいて、その方から筋力トレーニングなどを指導していただきました。
早い段階で筋力を戻すことができたので、退院する頃には杖なしで歩くことができるようになりました。
退院してからは少し無理をしたこともありましたが、ピラティスなども取り入れながら体幹なども鍛え、徐々にセーブすることなくダンスができるようにもなりました。
ただ左側にも寛骨臼形成不全があるので、運動量が増えてくると左の股関節への負担が増えて痛みが出てきちゃったんです。それで2年後に左の股関節も手術を受けました。今では両脚の痛みが取れて普通に稽古でき、子供たちに教える時にも一緒に踊ることができるようになりました。

手術を受けてどうでしたか?

安木さん 手術を受けずにあの痛さがずっと続いてたら、精神を病んでいたと思います。
当時はやりたいことができない、行きたいところに行けないと気力が落ちて、人に会うのも遠出するのも辛かったです。手術前に友達に誘われて旅行に行ったのですが、階段が続くと上まで行けないから下で待っていたり、みんなと一緒のペースで歩けなかったり同じ行動ができなかったりしました。私、若い頃からテンションが高かったんですよ(笑)。
でもその頃は痛みばかりが気になって元気がなくなり、今までの自分じゃなくなっていました。今はもとの元気を取り戻せてよかったです。

股関節に同じような痛みや悩み、違和感を抱えている方へメッセージをお願いします

安木さん 手術を過度に怖がるよりも、自分がこうなりたいという願いを実現できる医師を妥協なく探すことも大事かもしれませんね。私は、痛みを抱えたまま過ごしていた頃より、日々を楽しく過ごすことができています。嫌なことを続けて精神状態が悪くなるよりも、やりたいことができるように行動することが大事だと思っています。辛いことは我慢せず、人生を楽しむのが一番だと思います。

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