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専門医インタビュー

寺田 聡史 先生|元気に歩むために。膝の痛みは放置せず、早めの受診を!

この記事の専門医

愛知県

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1999年名古屋市立大学卒業。米国ピッツバーグ大学整形外科に留学。スポーツ整形外科を2年間研修。整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本人工関節学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)、医学博士。

この記事の目次

治療までの流れを教えてください。

ヒアルロン酸注射

変形性膝関節症の治療は、大きく「保存療法」と「手術療法」に分かれます。保存療法は、ヒアルロン酸注射や運動療法で痛みの緩和や筋肉の強化を図り、日常生活に支障がない状態に戻す療法です。手術療法は、変形した関節を「人工膝関節」に置き換えることで根治を目指します。人工膝関節置換術とは、変形性膝関節症やリウマチによって傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、金属やセラミックの人工膝関節を骨にかぶせる手術です。治療法は症状の程度によって決められますが、一度すり減ってしまった関節軟骨が、自然に元に戻ることはありません。そのため保存療法でいったんは改善しても、定期的な経過観察や日常生活での配慮を怠ると、症状が悪化してしまうことが多く注意が必要です。

人工膝関節置換術の流れ

手術は怖いという患者さんが多いと思いますが?

たしかに受診される患者さんの中には、できるだけ手術は避けたい、注射で治してほしいという方が少なくありません。 もちろん、保存療法で日常生活に支障がなくなれば良いのですが、手術を避け続けることで悪化してしまっては本末転倒です。実際、患者さんの中には、痛みをがまんし続け、どうしようもなくなってから手術を考える方が多いのも事実です。しかし、痛みで動かさなかった期間が長いと、その分筋肉が減り、関節もより固くなってしまってからの手術では、早期の手術に比べて期待どおりの結果が得られないことも多々あります。痛みの改善が見られないと判断したら、早期に根治が目指せる手術療法を選択することが大切だと思います。また、手術にはどうしても「痛み」のイメージがありますが、現在では手術後の痛みを抑える薬も多く出ており、手術後すぐであっても、我慢できる程度の最小限の痛みで留められるようコントロールしています。何年もの間、膝の痛みで憂鬱な毎日を過ごすことを考えたら、痛みを気にしない生活を選択するメリットは計り知れません。

「人工膝関節置換術」を受ける場合の流れを教えてください。

独自の訓練マシーン
(Non Gravity Range of Motion Machine)
を術後のリハビリテーションに使用しています。

まず手術を受ける前に、効果的な運動機器を用いた外来のリハビリで、筋肉を強化します。2週間でも1か月でも、時間的に余裕のある方には事前に筋力強化に取り組んでもらうことで、手術後の経過も良好に保てるからです。手術後2日間程度は動けませんが、その後、膝の曲げ伸ばしをするリハビリから始め、4日目頃から歩行を開始します。平均3週間ぐらいで退院となりますが、そのときには、120度くらい膝が曲がること(自転車のペダルがこぐのに必要な程度の膝の可動域)を一つの目標にしています。

リハビリテーション室

ただし、120度がゴールというわけではありません。個人差はありますが、低くしゃがんだり、あぐらがかける、患者さんによっては正座まで、いわゆる日本式の生活ができる膝の可動域の確保を目指し、定期的な経過観察を続けながら退院後のリハビリもサポートしていきます。


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