メニュー

専門医インタビュー

膝痛改善のポイントは体重管理と筋力強化。保存的治療で十分な効果が得られなくなったら、人工膝関節も!

この記事の専門医

  • 山本 精三 先生
  • 虎の門病院 院長補佐 整形外科特任部長
  • 03-3588-1111

東京都

プロフィールを見る

東京大学医学部卒業。同大附属病院整形外科医局長、東京都老人医療センター整形外科部長などを経て、2008年現職。
日本整形外科学会専門医・認定脊椎脊髄医・認定リウマチ医

この記事の目次

人工膝関節置換術とはどんなものですか?

人工膝関節置換術後
のレントゲン

人工膝関節の一例

変形・破壊された膝関節表面を取り除いて、代わりに人工物を設置する手術です。膝関節上下の骨に金属のインプラントを埋め込んで支えます。手術の方法や手術器械の進歩は目覚ましく、習熟した医師が行えば、痛みや機能の回復に安定した成績を得られている手術です。膝関節を全部人工物に取り換える全置換術(TKA)の場合、人工関節の耐用年数は15~20年ですから、ほとんど一生、問題なくスムーズな動きを得ることができます。関節の傷んだ部分だけを取り換える方法(UKA)もあります。
人工膝関節置換術を行う前段階として、膝関節に体重がバランスよくかかるように骨を切って整える「骨切り術」も行われていました。しかし、近年は、人工膝関節置換術の成績が非常に上がり、効果が出ていますから、多少年齢が若くても人工膝関節置換術を行うケースが増えていると思います。
 もちろん手術ですから、麻酔も必要ですし、感染などの合併症の心配も全くないとはいえません。人工膝関節置換術は高齢者が行うケースが多いので、手術前から細心の気配りや準備が必要です。

手術をするのを怖がる人もいると思いますが?

過去には、人工関節の成績が安定しないケースも確かにありました。随分前のことですが、人工膝関節にすると、かえって歩けなくなるのではないか…という不安も根強くあったのかもしれません。でも今は、人工膝関節置換術を受けたほとんどの人が、その成果に満足しているのは間違いありません。痛みは取れるし、膝がまっすぐに伸びて歩き方が綺麗になります。
いずれにしても、人工膝関節置換術は、手術の前に保存的治療を十分に行うことが条件です。まず体重を落として、膝の周囲、太ももの筋肉を十分に鍛えて筋力をつけてからの手術になります。

手術前に準備することは何ですか?

何より大事なのは、患者さんの骨の大きさや変形の状態にあった人工膝関節を選ぶことです。人工膝関節置換術は、膝にインプラントを固定して安定させますから、人工関節を支える骨が丈夫であることが大事です。前もって骨粗しょう症の検査を行い、必要な場合は治療もします。もし骨が弱い場合には、手術の際に人工膝関節を十分に支えることができるような工夫が必要になります。
輸血が必要になった場合に備えて、手術前に自己血を採っておく施設が多いと思います。しかし、実際には使うことはほとんどありません。出血は少ないし、手術は1時間半程度で終了、人工膝関節置換術はここ数年で非常に進歩しました。
もうひとつ、手術を成功させるためにも喫煙はもってのほかです。喫煙すると骨が弱くなります。そして重要なのが、手術の前に出来るだけ筋力をつけておくことと、体重を減らすことです。脚の筋力が落ちていると手術後の成績も良くありません。ですので、筋力低下や肥満が見受けられる患者さんには、手術の前に筋力と体重を整えるよう、頑張ってもらいます。また、膝が全く伸びない、曲がらない、歩けない、というほど筋力が落ちてしまう前に、手術を受けることを勧めています。

骨密度検査(腰椎)骨粗しょう症かを調べます。

変形性膝関節症のCT


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop