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専門医インタビュー

膝の痛みで思うような生活ができなくなったら担当医師としっかり話し合い、信頼できる施設で手術を検討!

この記事の専門医

長崎県

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日本整形外科学会・整形外科専門医、日本整形外科学会・スポーツ専門医、日本体育協会・スポーツ専門医

この記事の目次

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください。

リハビリは理学療法士がマンツーマンで指導します

リハビリは手術翌日から座位練習や膝の曲げ伸ばし訓練を始めますが、当初は膝の腫れや痛みのため自分では思うように動かすことができませんから、病室に理学療法士が訪れてマンツーマンで徐々に行っていきます。深部静脈血栓症を予防するためにも、手術による筋肉の衰えを最小限に抑えるためにも、術後できる限り早くリハビリを開始することが重要です。3日目からは全荷重での歩行訓練を開始し、自信がついた段階でリハビリ室での訓練に移行します。ほとんどの人が約1週間で歩行器を使って歩けるようになりますね。2週目には少し手を貸してもらえれば歩ける程度の安定した歩行を目指し、3週目に試験外泊をした上で、自宅での生活に自信が持てれば退院となります。長崎は坂や石段の多い厳しい地域ですから、日常生活が支障なく行えるのを十分に確認してから帰ってもらいたいと考えています。回復に時間がかかるケースでは、療養病棟に移ってリハビリを続けてもらうこともあります。必要な場合は、退院までに病院スタッフがご自宅を訪問して手すりの設置やベッドのレンタルなどの手配をお手伝いして、退院後の安全で快適な生活をバックアップしています。

人工関節を長持ちさせるポイントを教えてください。

運動は1日30分くらいの散歩がお勧めです

現在、人工膝関節の耐用年数は20年以上と考えられています。しかし、人工関節は衝撃に弱いので、転倒や過度の運動、高い段差から飛び降りる、長時間重たい物を持って歩くといったことは極力避けてください。特に転倒には注意が必要で、骨との接合部が緩んだり骨折したりする危険性があります。また、体重を増やさないことも大切です。歩行時には体重の5倍の負担が膝にかかりますから、適切な体重コントロールを心掛けましょう。筋力を落とさないためには、ある程度の運動も必要です。1日30分くらいの散歩がお勧めです。その他、人工関節を長持ちさせるためには退院後の定期的なチェックも欠かせません。退院後は3ヵ月、6ヵ月、1年後の検診を受け、何も不具合がなくてもその後も継続的に1年に1回のレントゲン検査を必ず受けていただき、膝の状態をチェックしてもらうようにしてください。

膝の痛みに悩んでいる人にアドバイスをお願いします。

「体は元気なのに膝が痛いためにどこにも行けない」、「やりたいことはたくさんあるけれど歩けないから諦めている」という人には人工膝関節置換術はとても有効な手術だと思います。定期検診の際、「何年かぶりにお墓参りに行けました」、「夫婦で海外旅行に行ってきました」といった喜びの声も多く寄せられています。正座ができないなど多少の制限はありますが、ほとんどの人が痛みも支障もない日常生活を得られています。ゲートボールやダンスを楽しんでいる人もたくさんいらっしゃいますよ。「手術して本当に良かった」という患者さんの声が整形外科医にとって一番の励みです。もちろん、合併症などのリスクが100%無いわけではありませんが、人工膝関節置換術の環境は飛躍的に進歩しており、リスクを限りなくゼロに近づけることのできる時代になっています。一生に一度の大きな決断になると思いますが、手術経験者の体験談なども参考にしながら担当医師としっかり話し合い、信頼できる施設で手術を受けることが大切です。


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