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専門医インタビュー

痛くない側の脚で10秒間立つことができますか? 筋力が弱る前に股関節の専門医に相談を

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神奈川県

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横浜市立大学医学部卒業。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会リウマチ医

この記事の目次

手術後には、どのようなリハビリを行いますか?

院内の移動には全て歩行器を使用します

麻酔から覚めたら病室に戻ります。翌日から体を起こしてベッド上で脚の曲げ伸ばし訓練などを行い、3日目からリハビリを開始します。リハビリの第一目標は車イスを使わないで移動することです。手術前から車イスを使っていた患者さんは別として、もともと使っていなかった人が一回車イスで移動するとつい甘えが生じてしまいます。当院では、術後の病院内の移動は歩行器で、と決めています。リハビリ初日は、トイレまで歩行器で歩いてもらいます。歩行器が使えなければ病室の簡易トイレで用を済ませてくださいとお話しますが、大抵は何とか頑張ってトイレまで自力で行きますね。

リハビリテーション室

術後最初の1週間は歩行器で移動しますが、退院前の最後の1週間は手術をしていない側に杖をついて歩けるようになるのを目指します。普通は3週間で退院ですが、手術をした側の脚が原因でうまく歩けない場合は、あと1週間入院しリハビリを頑張ってもらいます。逆に手術をしていない側の脚の筋力が弱いために立てない・歩けない人は、退院するのを延ばしても状態は変わりません。つまり、十分な回復には手術をしていない側の脚の筋力が大事なのですが、このことは手術前に詳しく説明をします。手術の前から立てなかった人は、手術後の目標を下げて二本杖か歩行器で歩けるようになれば退院としています。股関節周辺の筋力をつけるのは、歩くことが大切です。

退院後、患者さん自身が気をつけることについて教えてください。

脱臼を避けるためにも、この2つの動作は決して
しないでください

人工股関節は正常な股関節よりかみ合わせが浅いため、ある一定の角度以上曲げると股関節脱臼を起こす可能性があります。このような脱臼を起こさないためにも、「しゃがみ込む」、「膝を組む」という二つの動きは決してしないように厳重に指導しています。特に術後3カ月は、まだ人工股関節が身体に馴染んでいないため十分に注意してください。一般的に高齢者は、無理にしゃがんだり脚を組んだりしなくても日常生活では困らないでしょう。なお、人工股関節置換術を受けたからといって、特に安静にする必要はありません。「筋肉痛を起こさない程度で、どんどん歩いてください」と話しています。退院の1カ月後、問題がなければ3~4か月後、その後は1年に1回、定期検診を受診することを忘れないでください。

股関節の痛みに悩んでいる人へのメッセージをお願いします。

股関節が痛くても我慢をしている人がいますが、痛いと動かなくなり、結果的に脚の筋力が弱ってしまいます。変形性股関節症と診断されても、必ずしも人工股関節置換術が必要になるわけではありません。診断が遅くなれば遅くなるほど治療の選択肢も限られてきますので、筋力が弱くならないうちに股関節の専門医に相談してください。なお、変形性股関節症の予防の点でも筋力と体重は重要です。少し太っている人は体重を落として筋肉をつける努力をしましょう。イスに腰かけて脚を上げるだけでいいので、毎日続けてください。歩くのは辛いが何とか立つことはできる人は、今のうちに毎日片脚で10秒間立つ練習をしてください。立てない人は、寝ている状態で脚を上げるだけでも治療の効果は違ってきます。もっと歩ける人は、プールに通って水中歩行に取り組むのを勧めます。筋力は努力次第で強化できますから、ぜひ頑張って訓練しましょう。


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