専門医インタビュー
東京都
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腱板は4つの筋肉から構成されます
腱板と言うのは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ4つの筋肉の総称で、肩関節を安定させ色々な方向に肩を動かすための重要な役割があります。ところが、外傷や加齢が原因となり腱板が断裂すると、痛みが出たり腕に力が入りにくくなったり腕そのものが挙がらなくなったりします。若い人であれば怪我など明らかな原因がなければ腱板を断裂することはほぼないのですが、60代以降になってくると加齢性変化によって腱板が骨に付着している部分が弱くなり⾃然に断裂することがあります。肩を酷使するような仕事をされている40代~50代の人だと、繰り返される⼤きな外力により腱板が骨から少しずつ剥がれ始めることで腕を上げたときに切れ、そこが骨に引っ掛かり痛みが生じることがあります。
関節注射
特に怪我などの外傷が原因で腱板を断裂した場合は、基本的には手術を受けることで機能を回復させたほうが良いと思います。しかし、リハビリなどを含めると4ヶ月~6ヶ月ほどの治療期間が必要になり、仕事をされているとその時間を確保できないかもしれません。そのような場合は、ヒアルロン酸やステロイドの関節注射、リハビリといった治療を行いできるだけ痛みを緩和させます。
腱板断裂の症状は腕を挙げる時に痛みがあったり、引っかかりが生じることがあります。また断裂の範囲が大きくなると、力がはいらず腕が挙げづらくなり、そのまま放置しておくと断裂した腱板が痩せたり萎縮したりして、関節鏡を使っての腱板修復や再建が難しくなり肩関節の機能を温存するのが困難になることがあります。
関節鏡手術
患者さんの身体的負担を少なくするため、関節鏡を使用した低侵襲手術を基本としています。関節鏡手術は小さな傷で終えられるので、術後の痛みの軽減や早期回復が期待できるメリットがあります。
関節鏡を使った手術では、アンカーと呼ばれる糸のついたネジを骨に入れて切れてしまった腱板を骨に縫い合わせて修復します。また、断裂がとても大きくなっている場合は、太ももにある大腿筋膜を移植して腱板を再建することもあります。完治には4~6ヶ月必要となります。
腱板が大きく断裂し、筋肉が萎縮して関節鏡を使っての修復や再建が難しい場合には、人工関節を用いた手術が行われることがあります。従来の人工肩関節はご自分の腱板が機能していることが手術の前提でしたが、現在はリバース型と呼ばれる新しいタイプの使用が可能になっています。リバース型の人工関節は従来型の構造を反転させたことで、腱板が機能していない人でも肩の機能を改善させることが期待できます。
従来の人工肩関節
リバース型人工肩関節
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