専門医インタビュー
神奈川県
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川畑:日常生活への支障や制限が大きくなってきた時は手術を考えたほうがいいでしょう。比較的若い方であれば、「骨切り術」と呼ばれるご本人の脚の骨の⼀部を切り、脚の形を矯正する方法が行われることがあります。しかし、骨切り術はリハビリに数ヶ月かかるので、高齢者の場合は術後のリハビリを考えると、人工股関節置換術のほうが望ましい場合が多いと思います。
小泉:手術前に全身状態をしっかりと検査して、持病があったりご高齢であったりしても他科の医師らと連携をとって手術が可能かどうかを事前に確認します。その結果次第で、手術に進むこともあれば、まずは持病を治してから手術に進むというケースもあります。手術を受けられる年齢は、50代以降の方が多いのですが、80歳を過ぎた⽅でも手術受けることで痛みが軽減して歩けるようになった⽅もおられます。
骨切り術
人工股関節置換術
人工股関節の一例
川畑:人工股関節置換術とは、その方の股関節の骨の一部を削る、取るなどしてから、事前に確認したその方に合った人工股関節を骨に設置する手術です。人工股関節は主に4つから構成されていて、その素材は金属やセラミック、高分子ポリエチレンなどです。手術時には股関節の前方から侵入することが多いのですが、患者さんの状態によっては後方からアプローチすることもあります。どちらの方法にするかは、事前に患者さんの変形度合いなどをしっかり確認して適切な方法を選択していきます。手術方法そのものも近年では進化しており、皮膚を切る大きさが小さくなったり、出血量が減ったり手術時間が短くなったりしています。また、筋間アプローチと呼ばれる、筋肉を切らずに筋肉と筋肉の間から股関節に侵入する方法で行うと術後の痛みを抑えられ、リハビリ期間や社会復帰が早くなっているので、これまでよりも色々な面で患者さんへの負担が減ってきていると思います。
川畑:手術中の合併症を心配される方もおられます。その中でも感染症に対しては、クリーンルームと呼ばれる特別な部屋で手術を行い、手術はできるだけ短時間で終えるなど、さまざまな対策をとり感染症を予防しています。
小泉:人工股関節そのものの耐用年数は以前より延びており、近年では約20年あるといわれています。そのため、以前よりも若い方でも手術を希望されることがあります。人工股関節の手術は、若い方やお年を召した方でも受けられる手術です。しかし、大切なのは年齢ではなく、痛みをずっと我慢した生活を送っていくのか、それとも適切な治療を受けて日常生活を改善させていくのかではないかと思います。
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