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専門医インタビュー

膝の痛みの治療は「意欲と筋力」が大切です。早めに専門医へご相談ください

この記事の専門医

大谷 真史 先生
  • 大谷 真史(おおたに まさふみ) 先生
  • 総合大雄会病院 人工関節センター 診療部長
  • 0586-72-1211

愛知県

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主な専門領域:整形外科、関節外科(人工関節・リウマチ)
所属学会:日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本人工関節学会
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本人工関節学会認定医

この記事の目次

膝の手術に使用される人工関節はさまざまな種類があるそうですね?

人工膝関節全置換術(左)と部分置換術(右)

人工膝関節全置換術(左)と
部分置換術(右)

人工膝関節置換術は、軟骨のすり減りによって膝関節が変形した部分を切除し、金属のインプラントやクッションの代りになるポリエチレンに置き換える手術です。骨の傷んだ部分や骨表面にある知覚神経など痛みの原因を取り除くことで、膝の痛みを軽減することができます。
膝の内・外側ともに変形が進んでいる場合は、膝関節の表面全部を人工関節に置き換える「全置換術」を行います。一方、軟骨のすり減りが膝の内側だけに限定されている場合は、一部分を人工関節に置き換える「部分置換術」を選択します。この手術は、ご自分の軟骨や靭帯を温存できるため、自然な膝の動きが期待できます。
また全置換術の中にも、後十字靭帯を温存する「CR型(後十字靭帯温存型)」と前十字・後十字靭帯を切り離す「PS型(後十字靭帯切離型)」の人工関節があります。後十字靭帯の機能がある程度残っている場合はCR型が適しており、とくに階段を下る時に膝の安定性が期待できます。後十字靭帯が切れている、ほぼ機能していないと判断した場合はPS型を適用するなど、個々の状態に合わせて適切な人工関節を選択できるようになりました。

人工膝関節置換術は、進歩しているのでしょうか?

さまざまな研究により人工関節は年々進歩しています。アジア人の骨格に対応したサイズが増え、より患者さんに合ったサイズを選びやすくなりました。軟骨の役割を果たすポリエチレンも性能が向上し、抗酸化剤であるビタミンEの配合によって摩耗が軽減できるなど、より長期の耐久性が期待されています。
また手術への抵抗感として痛みへの不安が大きいと思いますが、傷の痛みと術後のリハビリの痛みをコントロールする方法も大きく進歩しています。麻酔科の先生の協力で、全身麻酔と、筋力を落とさず術後の痛みだけを軽減させるブロック注射を併用し、手術当日・翌日の痛みの軽減が可能になっています。ひと昔前に比べると術後に「痛い、痛い」と訴える方はほとんどいなくなりました。ブロック注射の効果が切れた後は、複数の薬剤を使用して痛みを抑えるようにします。リハビリプログラムも患者さんの痛みや状態に応じて進めていくので、スムーズにリハビリが行えるようになっています。

人工関節の手術に年齢制限や持病による影響はありますか?

ご本人に「手術をして良くなりたい」というモチベーションがあり、手術に耐えうる体力や全身状態に問題がなければ、年齢制限はないと思っています。ただし人工関節の手術によって歩けるようになるためには、新しい膝に慣れるためのリハビリが不可欠です。リハビリに一生懸命取り組む意欲と、歩くための筋力をつけておくことが大事だと思います。そのため、手術を受けた後は、旅行に行きたい、自転車に乗りたいといった具体的な目標を持ったほうが良いでしょう。
術後合併症のひとつに感染症があります。術後早期や遅発性感染といって何年も経ってから他の疾患の細菌が原因となり、膝の感染症を起こすケースもあります。もし、虫歯や膀胱炎など細菌が増殖するような疾患や糖尿病などの持病があれば、術前だけでなく術後もしっかりと治療を行い、予防に努めるようにしてください。


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