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専門医インタビュー

治療の選択肢を広く持つために、膝の痛みを感じたら早めに整形外科へ受診を

この記事の専門医

山際 浩史 先生
  • 山際 浩史(やまぎわ ひろし) 先生
  • 済生会新潟病院 整形外科部長
  • 025-233-6161

新潟県

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ドクタープロフィール:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

この記事の目次

手術後の痛みはありますか?

リハビリ室

近年は、以前と比べ麻酔方法や薬剤などが増え、手術による痛みを緩和させる方法も進歩しています。手術中は、全身麻酔や腰椎麻酔だけでなく、「神経ブロック」や術中に関節内に痛み止めなど複数の薬を混ぜた「カクテル注射」を行うことで術後の痛みを緩和できるようになっています。また、術後も内服薬の使用など、さまざまな工夫を行うことで、以前よりも痛みを抑えられるようになっています。
術後のリハビリは、ベッドの上で痛みが出ない範囲で足関節を動かす、膝を伸ばすといった簡単な訓練から始めます。術後2日目から、膝を曲げたり伸ばしたりする訓練や、筋力トレーニング、歩行器などを使った歩く練習を始めます。術後の合併症のひとつに血栓症があります。血栓症を予防するために、血液をサラサラにする抗凝固薬を使用しますが、術後早くから歩くリハビリは血栓症の予防にもつながります。

退院後に気をつけることはありますか?

スクワット

手術前だけでなく、退院してからも下肢のケガや糖尿病などが原因となって、人工関節が入っている部分が腫れたり、熱が出たりする、細菌感染を起こすことがまれにあります。感染症を発症すると場合によっては、人工関節を入れ換える手術が必要になることがあるので、糖尿病の方の場合は、血糖値をコントロールするなど、できるだけ健康な状態を保つようにしましょう。
ジャンプなど膝に負担がかかる運動は避けたほうが良いですが、日常生活をする上では特に制限はありません。レクリエーションでのテニスや卓球、ゴルフやウォーキング、楽な登山などを行っている方もおられます。庭いじりや畑仕事をやっていた方でしたら、術前と同じように積極的に行っていただけたらと思います。ただし、しっかり動くためには下肢の筋力を維持することが大事です。入院期間中に教えてもらった筋力トレーニングはぜひ続けてほしいですね。

膝の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします

痛みが一定期間続き、今まで、できたことができなくなった状態でしたら、まずはお近くの整形外科を受診されることをお勧めします。変形性膝関節症が進み、手術を考えるようになった場合は、医師と相談するのはもちろんですが、お一人で抱え込まずにご家族を交え手術について考えてほしいと思います。手術を受けるかどうかを選択することは大変なことだと思いますが、ご家族の理解や協力が大きな力になると思います。
人工膝関節の手術は国内の多くの施設で行われていますが、合併症がゼロと言うわけではありません。何かあった時、すぐに相談できるお近くの病院で手術を受けたほうが安心して日常生活を送れるのではないかと思います。膝に痛みがあれば、お一人で悩まず、専門医にご相談ください。


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