専門医インタビュー
福岡県
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「変形性膝関節症」は、現在2500万人以上もの方が発症している疾病と言われています。進行の度合いや痛みの程度、さらに生活環境などを考え、その患者さんに適した治療方法を選択していくことが大切です。手術に対してマイナスイメージを持つ方も少なくありませんが、徹底した疼痛管理やロボット支援手術など、新たな技術の導入も進んでいます。その詳細について、北九州総合病院整形外科 平野文崇先生にお聞きしました。
「変形性膝関節症」とは、加齢に伴って軟骨がすり減っていき、痛みや腫れ、炎症などを引き起こしてしまうものです。膝が痛む原因は色々考えられますが、高齢の方であれば、ほとんどがこの変形性膝関節症が原因です。男性よりも女性に多く、「立ちあがりに少し痛む」という方から「激痛で歩けない」という方まで症状は人それぞれです。また、すり減った軟骨や変形が自然に元に戻ることはなく、年齢を重ねながら進行していきます。
早い段階で受診できれば治療の選択肢も多いので、気になったら早期に整形外科を訪ねることをお勧めします。
KL分類
変形性膝関節症と診断された場合は、進行度合いや症状によって、保存療法から手術療法まで、いくつかの選択肢があります。
進行の度合いは、グレードⅠからⅣまであります。グレードⅠは、軟骨のすり減りによって関節の隙間(関節裂隙:かんせつれつげき)が少し狭くなっている状態、Ⅱ~Ⅲは、明らかに狭くなっていっている状態、Ⅳは隙間がなくなって骨まで削られている状態を表し、これを目安に、治療方針を検討していきます。グレードⅠの方であれば、減量や運動療法などが中心となり、Ⅱ~Ⅲになると、鎮痛剤や湿布、ヒアルロン酸注射などの薬物療法も取り入れていきます。Ⅲ~Ⅳの段階で、痛みが強くなってくると手術療法を検討していきます。また、実施している医療機関は限られますが、保存療法や手術以外の「第3の治療」と呼ばれる再生医療を受けられる場合もあります。これは、グレードⅡ~Ⅲの方に適している治療方法と考えられ、新たな治療選択肢として期待されています。
基本的にはまず保存療法を開始します。そして段階的にMRIやCT等の画像精査も行い、診断が正しいかどうかも確認していきます。数カ月の保存療法でも改善しないようなケースでは手術をお勧めします。ただし変形性膝関節症に対する手術は骨折や癌と異なり、必ずしも急を要する訳ではありません。患者さんと相談を重ね、しっかり信頼関係を築きながら、患者さんやご家族が納得されるタイミングで手術を行うのがベターと考えています。
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