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専門医インタビュー

膝の治療の選択肢は広がっています。ご自分に合った治療法を選び生活の質を高めていきましょう

この記事の専門医

中澤 良太 先生
  • 中澤 良太 先生
  • 加納岩総合病院 院長/山梨リハビリテーション病院 非常勤医師/甲府北口駅前リハビリテーションクリニック 非常勤医師
  • 0553-22-2511

山梨県

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社会医療法人加納岩 副理事長、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、野球日本代表U-15 アジアチャレンジマッチ帯同、高校野球神奈川県大会メディカルサポート
専門分野:関節外科、整形外科一般、スポーツ整形外科

この記事の目次

人工膝関節置換術後は、痛みがあるのでしょうか?

以前は、術後早期は痛みを訴える患者さんが少なくありませんでした。しかし、最近は、「先取り鎮痛」と言って、術前から術後の疼痛のための対策をしておくことで、術後、ほとんど痛みを感じることなく、早期に術後のリハビリテーションを開始できている施設が増えています。例えば、エコーを使った伝達麻酔を術前から実施し、膝関節の手術に関わる痛みを感じる神経をブロックしておいて、術後も持続的にその伝達麻酔が効くようにするという方法も行われるようになっています。さらに、手術中は、カクテル注射によって鎮痛薬などの複数の薬液を膝関節内に入れることで術後の疼痛をコントロールする方法もあります。

手術後、いつから、どのようなリハビリが行われるのですか?

歩行訓練

施設によって多少違いがありますが、人工膝関節置換術の場合、早い施設だと手術後翌日から車いすに乗り、立つ練習などを始めます。その後は、患者さんの痛みの範囲内で、筋力トレーニングや可動域訓練、歩行訓練など、様々なリハビリを行っていきます。
患者さんの中には、手術さえ受ければ、あとは何もしなくても若い頃のような膝に戻ると思っている方もいるのですが、決してそうではありません。手術は、あくまでも変形してしまった構造を整えるもので、膝関節の機能を劇的に変えるというものではありません。構造と機能の両方が合わさってはじめて、膝痛や可動域が改善されます。つまり、手術で構造を整えたら、術後リハビリテーションで膝周りの大腿四頭筋などの筋力を高めて、機能面も改善させることが重要なのです。

リハビリの期間を教えてください

リハビリ室

手術を急性期病院で受けた場合、術後のリハビリテーションをだいたい2週間くらい受け、段差が越えられるようになったら退院となることが多いと思います。ただし、術後2週間程度のリハビリでは、段差を越えることが「どうにかできる」というレベルで、それでは、日常生活に支障があるという方も少なくありません。その場合には、回復期リハビリテーション病院に転院して入院リハビリを継続して受けるという方法があります。
人工膝関節置換術の場合、医療保険の制度上、回復期リハビリテーション病院への入院は最長3か月認められているので、「どうにかできる」ではなく、段差を越える、階段を昇り降りするといった動作を自然に「している」状態になることをゴールに置き、術後1~2か月くらい集中的なリハビリを行うことが可能です。
その場合、どうしても入院期間は長くなってしまいますが、その分、日常生活に合わせたきめ細かなリハビリが受けられるだけでなく、人工関節を長持ちさせるためにご自分で努力すべきことも身につけることができます。また術後の長い期間、整形外科医や理学療法士などの専門家が介入して、見届けてもらってからご自宅に戻ることができます。術後の生活に不安がある方は、回復期リハビリテーション病院という選択肢があるということを知っておくとよいでしょう。

人工膝関節を長持ちさせるために、手術後、どのような注意が必要ですか?

スクワット

スクワット

体重がかかる程度や頻度が増えれば、それだけインプラントの消耗につながります。ですから、サッカーやシングルテニス、ランニングといった激しい運動については主治医によくご相談ください。できればゴルフや水泳といった膝への負担が少ないスポーツのほうがお勧めです。
また、大切なのは筋力を維持・向上させることです。体幹を含めた機能面をしっかりさせておくことで、膝へのストレスを軽減することができます。ご自分でできる筋トレとしては、太ももの下にクッションを入れて、押しつぶすような動作などがよいでしょう。スクワットや腹筋もお勧めです。またご自分の人工関節に問題がないか定期検診も欠かさずに受けてください。

最後に、膝痛で悩んでいる方にメッセージをお願いいたします

膝というのはすごく重要な関節で、歩行や日常生活動作に大きく関わります。なぜ膝が痛むのか、その原因がわかれば適切な対処ができ、今までの悩みが解決することがあります。それには、運動器の専門家がしっかり見ないと原因がわかりませんので、気軽に整形外科を受診してください。
疾患が見つかった場合、最近は、治療の選択肢が幅広くなってきています。まずは、患者さんご自身の事情や希望される生活スタイルをお話しいただき、その上で医師と二人三脚でよりよい治療法を選択していくことで、結果的にご自分の生活の質を上げるということにつながっていくと思います。


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