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専門医インタビュー

人工膝関節の手術は出血量や痛みの軽減
両膝同時手術など手術方法が進歩しています

この記事の専門医

毛利 年一 先生

兵庫県

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所属学会:日本整形外科学会、中部日本整形外科災害外科学会
認定医:日本整形外科学会認定専門医医

この記事の目次

変形性膝関節症の進行度合いによって手術方法が変わってくるのですか?

人工膝関節全置換術

人工膝関節全置換術

骨切り術

骨切り術

保存療法を3ケ月以上行っても、膝が痛くて長く歩けないなど日常生活に支障がある痛みが続いている場合は手術を考えてみても良いと思います。
手術方法は、変形性膝関節症の進み具合によって変わります。関節軟骨の摩耗が少なく、膝関節の可動域制限があまりなく、活動性の高い比較的若い方であれば骨(こつ)切り術が適応となります。骨切り術は、膝周囲の骨を切って、下肢の荷重の向きを軟骨が多く残っている部分へ移行させ、痛みを和らげる手術です。ご自身の膝関節が温存できるので、手術後にスポーツや重労働を行うことが期待できます。
関節軟骨が消失した末期の変形性膝関節症の方の場合、人工膝関節置換術が適応となります。人工関節の手術は傷んでいる膝の表面を取り除き、その部分を人工関節に置き換えます。しかし、手術を受けたからといって筋力などが向上したわけではないので、しっかりリハビリを頑張れるかが大切です。90歳の方でもリハビリを行う意欲があれば、手術を受けることで痛みが軽減し歩きやすくなったと言われる方もおられます。また、動けなくなるまで我慢するよりも少しでも若く、体力もあるうちに手術を受けたほうが術後のリハビリも進み、回復が早いと思います。

人工膝関節置換術について詳しく教えてください

人工関節の手術前に患者さんの3DCT撮影を行い、その画像をもとにして、患者さんの骨の捻じれの角度や骨の幅などを測ることにより適切な人工関節のサイズ選択、設置する場所や骨を切る量を事前にシミュレーションします。
手術中は、その計画通りになるように正確に骨を切り、理想的な場所に人工関節を設置するようにします。人工膝関節は、傷んでいる部分だけを換える単顆型や関節の表面全体を入れ換える全置換型があります。単顆型は、膝の内側のみが傷んでおり、可動域が良く、変形が少ない患者さんに適応があり、術後の可動域の回復や、最終的な可動域の獲得が良い手術だと思います。

人工膝関節単顆型置換術の流れ

人工膝関節単顆型置換術の流れ

人工関節の手術による出血や痛みは抑えられているのですか?

以前は手術中の出血量が多く、手術前に患者さんご自身の血液を貯めたりした血液を輸血することがありました。最近は、手術方法や使用する手術器具が進歩し傷口が小さく短時間で手術を終えることができるようになり、また手術時に出血を抑える薬も使うことで出血量が減少し、術後に輸血を行うことが減りました。
手術による痛みを軽減させるために、手術を終える前に炎症を抑える薬と麻酔薬を混ぜたカクテル注射を関節周囲に行います。また、術後早期には、オピオイド鎮痛剤による疼痛管理や神経ブロックも行うなど、色々な薬剤や方法を導入することで術後の痛みが以前よりも軽減していると思います。

同時に両膝の手術を行うことがあるのですか?

正常な膝とO脚

変形性膝関節症の方の場合、両方の膝が同じくらい変形している方が多くおられます。O脚変形がかなり進んでいる場合、片膝ずつの手術を受けると、手術を受けていないほうの脚の影響を受け、手術をした膝の曲げられる角度に影響が生じることがあります。両方の膝に痛みがあり、患者さんが希望され全身状態に問題がなければ一度に両膝の手術を行うことがあります。一度に両膝の手術ができれば、両脚のバランスを整えやすいだけでなく、手術が一度で終わり、入院期間は倍にならないので、一度に両膝の手術を希望される方が多くおられます。


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