専門医インタビュー
愛知県
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リハビリは、手術翌日から歩く練習を始めます。これは、静脈に血栓が形成されるのを防ぐためにも重要なことです。調子の良い患者さんであれば病棟1周くらいは可能ですから、自分の筋肉を動かすことによって、血液の流れを滞らせないようにします。3日後くらいからは、リハビリ室での歩行練習を開始します。2~3週間後には階段の昇り降りもクリアし、日常生活に大きな支障が出ないようにして退院します。年齢や症状の強さのために2~3週間のリハビリでは十分に回復しきれない患者さんには、リハビリテーションの専門病院を紹介し、そこでもう少し頑張ってもらうこともあります。
退院後も専門医の指導の下で、自宅でのホームエクササイズなどを続けて下さい。リハビリを続けることで、人工関節が身体に馴染み、脚・腰の筋肉もしっかりと付けることができます。我々医師が手術で治せることには限界があります。大事なのは、患者さんが真剣にリハビリに取り組むことです。リハビリを継続するには根気がいりますし、自分に厳しくないとなかなか続かないものですが、身体は正直です。根気良く頑張って続ければ、必ずご褒美として術前とは比べものにならないほどの改善が望めるはずです。
人工関節も以前に比べて随分性能が良くなりましたので、80%以上の人が20年もつようになっています。耐用年数は、患者さんのライフスタイルや体重などの要素によって影響を受けますが、専門医の指示に従い以下の日常生活の注意点を守ることで、ある程度、長持ちさせることは可能です。最近では、人工関節が術後30年以上もっているケースも見かけますので、以下のことに気をつければ、再置換をしないで一生を終えられる可能性も出てきたといっていいでしょう。
気になる症状や痛みがあれば、まずは整形外科の関節の専門医に相談をしてください。できれば、股関節の治療に力を入れている医療機関を選びましょう。手術実績が豊富な施設のほうが、医療器械や医療環境が整っている確率が高いと思います。
手術をする・しないは、すぐに決める必要はありません。状態があまり良くなくても手術が必要ない場合もありますし、手術が必要な場合でも人工股関節置換術に対する敷居は随分と低くなっています。金銭的にも技術的にも、患者さんにとって優しい環境が整ってきたのではないでしょうか。私は患者さんに、「手術をすれば、今まで10あった痛みが1~2くらいになりますよ」と説明しますが、これは決してオーバーな話ではありません。患者さんからは、「夢のまた夢だった海外旅行に、年に何回も行けるようになった」、「あきらめていたゴルフをまた楽しめるようになった」という喜びの声をたくさんいただいています。専門の医師に適切なアドバイスを受け、十分に納得した上で治療に臨むといいでしょう。
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