専門医インタビュー
特に痛みを強く感じるのは手術直後です。以前は麻酔から覚めた瞬間に叫びたくなるほどの痛みがありましたが、今は麻酔の進歩もあり、つらい痛みをしっかりと軽減できるようになりました。手術直後は神経ブロック注射で傷口の痛みを和らげ、その後は痛みや腫れを抑える薬を使って痛みのコントロールを行います。
リハビリは手術翌日から開始します。最初は痛みや怖さが伴うので、関節を少しずつ動かして可動域を広げる訓練から行い、その後は座る、立つ、歩くといった日常動作の訓練を始めていきます。患者さんの状況によって内容やスピードが異なりますが、リハビリの先生と相談しながら焦らずに進めてください。
なるべく手術をしたことを忘れて、普段通りの日常生活を送ってほしいと思います。人工関節や手術の進歩により、股関節の脱臼や傷口の感染症といったリスクはかなり下がっています。激しいコンタクトスポーツや転倒するような行動を避けていただければ、特に動作制限を設けてはいません。動けるようになるために手術を受けたと思います。退院後は積極的に動いてほしいので、1日5,000~7,000歩を目標に痛みの出ない範囲でしっかり歩くようにしましょう。
人工関節に慣れすっかり体調が良くなっても、年に1回は人工関節の状態を確認するための受診を忘れないようにしてください。レントゲンで異常を確認するほか、生活状況をお伺いして、一日中家でじっとしているような時にはリハビリを頑張るよう叱咤激励する役目も果たします。
膝や股関節の痛みが気になったら、まずは整形外科を受診していただきたいと思います。患者さんに同行されるご家族からは「家で痛い、痛いと言っているのを聞くのがつらい」と聞くことが多いです。ご自身は独り言のつもりでも、ご家族に心配をかけていることがあるようです。病院に行くと手術を受けさせられる、と思われ受診することに二の足を踏んでおられるかもしれません。まずは治療を受けるか受けないかという前に、ご自身の状態を知っていただきたいと思います。受診し状態を確認した後に、治療方針を聞くだけですっきりされる方もおり、また、現在は状態に合わせた様々な治療法からご自身にあった納得できる治療が選択できるようになっています。たとえ手術が提案された場合でも、手術を受けるかどうかは患者さんご自身が決めるものです。日本人らしい我慢の精神を発揮するよりも、不安なことは専門医にどんどん質問して、納得の上でご自分に合った治療法を選んでください。
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