専門医インタビュー
大阪府
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膝に痛みを抱えているために、つい外出がおっくうになったり、やりたいことが十分にできなくなって不便やストレスを抱えている人も少なくないのではないでしょうか。我慢できる痛みだからといって専門医を受診しないままにしておくと、その間にも症状は進行してしまいます。人工膝関節置換術において、全置換術だけでなく、部分置換術も数多く手がける吹田市民病院の西村岳洋先生に、手術療法を中心に治療について伺いました。
膝関節は、太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))とすねの骨(脛骨(けいこつ))が組み合わさった関節です。2つの骨の表面は、衝撃を吸収するクッションの役割を果たす軟骨で覆われています。平らな道を歩くだけでも体重の約3倍、階段昇降で約5倍、走れば約10倍もの力が膝にかかるといわれますが、軟骨がこうした衝撃を吸収してくれるおかげで、私たちは痛みを感じずに活動することができるのです。
日々、衝撃を受け止めている軟骨は、年齢を重ねるにつれてすり減っていきます。一度すり減った軟骨は再生することはないので、症状が進行すれば、やがて軟骨は大きく欠損することになります。すると、クッションの役割を果たせなくなり、骨同士が直接こすれ合うようになるので炎症が起き、膝に水が溜まったり、痛みが出るなどの症状が現れてきます。これが、中高年の膝の痛みの原因としては最も多い「変形性膝関節症」です。特に日本人は膝の内側から悪くなる方が多いのでO脚に変形する方が多く、痛みのせいで運動量が減り筋力が落ちてくると寝たきりの原因になることがあります。
また、「関節リウマチ」などの膠原病(こうげんびょう)が原因で骨や軟骨が破壊されることもあります。このほかに原因は不明といわれていますが、つまずいたり、ぶつけたり、といった軽微な衝撃がきっかけで発生する「特発性大腿骨内顆骨壊死(とくはつせいだいたいこつないかこつえし)」という病気もあります。レントゲンでは判別できないので、通院して治療しても痛みが改善しないようなら、MRI検査をして壊死がないかどうかを確認したほうがいいと思います。
打撲や筋肉のこわばりが原因の痛みなら時間とともに改善しますが、痛みが2週間以上続いたり、だんだん強くなったりするようなら、原因を明らかにするためにも整形外科を受診してほしいと思います。また、自分では耐えられる程度の痛みだったとしても、家族や友達に「足を引きずってるように見える」「歩き方がおかしい」などと指摘されたら、すぐ病院で診てもらってください。歩き方がおかしくなりかばって歩くと他の部分にも影響が出てしまいます。大事なのは我慢せずに早めに受診し、痛みの原因を特定することです。変形性膝関節症と診断されても、関節注射を打ったり、筋トレ、リハビリなどの保存療法だけでよくなる人は少なくありません。特に体重コントロールは大切です。体重を落とすことはなかなか難しいと思いますので、これ以上増えないよう体重管理に気を付けてください。
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