メニュー

専門医インタビュー

半月板や靭帯が温存できるうちに早期受診を 治療の選択肢が広がります

この記事の専門医

相川 淳 先生

神奈川県

プロフィールを見る

専門分野:膝関節外科、小児整形外科
認定・専門医:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医、日本整形外科学会リウマチ医
岩瀬 大 先生
  • 岩瀬 大 先生
  • 北里大学病院 整形外科 診療講師
    黒河内病院 人工関節センター 副センター長
  • 042-778-8111

神奈川県

プロフィールを見る

専門分野:膝関節外科、小児整形外科
認定・専門医:日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会リウマチ医、日本整形外科学会リハビリテーション医

関連するキーワードから探す

この記事の目次

どのような手術方法があるのでしょうか?

関節鏡手術

関節鏡手術

相川 変形性膝関節症の手術療法にはいくつか種類があり、適応の有無があります。進行度合いが初期から中期にかけては、例えば、O脚で内側の軟骨だけ傷んでいる、必要な靭帯が機能しているなどの条件が合えば、「骨切り術(こつきりじゅつ)」によって足の形を矯正して痛みを改善するという手術が可能な場合があります。また、半月板の逸脱があるようなら、関節鏡による手術でそれを治療し、進行を遅らせることを目指すという方法もあります。
このような治療手段が適応しないと、人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)を考えていただくことになります。人工膝関節置換術は、骨切り術と比べて術後の回復が早いことから、特に70歳以上の方には向いている治療法です。とはいえ、近年は技術の進歩によって人工関節の耐久性が伸び、50代、60代でも手術が検討できるようになっています。

骨切り術

骨切り術

岩瀬 骨切り術も、以前に比べると進歩しています。最近は、ややO脚気味という軽度の変形でも骨切り術が可能になっています。術後のリハビリも、体重をかけて歩けるようになるまでの期間が、以前に比べてかなり短縮されています。そのため、これまでは早期の変形性膝関節症では保存療法が治療の主な選択肢でしたが、今は、早期の段階で手術によってO脚を矯正し、自分の膝をできるだけ長持ちさせるということも目指せるようになっています。ただし、多くの場合、骨切り術を単独で行うことは少なく、半月板損傷など必要に応じて関節鏡手術も行いながら、変形性膝関節症の進行の遅延を目指します。もちろん、骨切り術ですべての人が期待するような結果が得られないこともあるので、最初から人工膝関節置換術を選択したほうがよい場合もあります。

早めに受診することで治療の選択肢が広がるのですね

前十字靭帯と前十字靭帯後十字靭帯

骨切り術

全置換型と単顆置換型

全置換型と単顆置換型

相川 人工膝関節置換術にしても、膝関節の表面全てを置換する全置換型だけでなく、片側だけ置換する単顆置換型(たんかちかんがた)、膝のお皿や大腿骨(だいたいこつ)だけ置換するタイプもあります。全置換型にしても、前・後十字靭帯(ぜん・こうじゅうじじんたい)が健康なら、それを残す方法もあります。やはり、靭帯などは残せるなら残したほうが、術後、膝をより深く曲げることができるようになったり、回復が早くなったりすることもあります。ただし、中には、靭帯などを残したとしても、十分な機能回復が望めないケースもあります。その場合は、切除して全置換型で対応することもあります。

岩瀬 単顆置換型は、骨切り術と適応がかぶります。つまり、外側の軟骨が残っていて、靭帯も機能している状態なら、片側だけ人工膝関節に置換することもできるわけです。痛みをがまんしすぎて、両側の軟骨、靭帯も含めて関節全体が悪くなってしまうと、治療の選択肢は狭まってしまいます。手術を受けるタイミングは、患者さん自身に決めてもらうことになるのですが、例えば、膝が曲がらない、あるいは伸びなくなってから人工膝関節の手術を受けても、何十年もかけて硬くなった靭帯や筋肉はそう簡単にやわらかくなりません。手術直後は、リハビリによって膝の曲げ伸ばしができるようになっても、すぐに元に戻ってしまうことが多くあります。患者さんの術後の満足度を考えると、筋肉の状態や膝の可動域(動く範囲)が良いうちに手術を受けたほうが、より高い効果が実感できると思います。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop