専門医インタビュー
新潟県
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手術時にどこからどのように股関節に到達するかという、アプローチ法が進化しています。近年は、前外側からアプローチすることで、筋肉をまったく切らずに、筋肉と筋肉の間を分けて進入する最小侵襲手術(MIS:Minimally Invasive Surgery)が可能になっています。さらに以前は全部切除していた股関節を包む「関節包(かんせつほう)」も、最近では一部だけの切除で済む手術ができるようになりました。筋肉や関節包を温存できると股関節が緩まず安定した状態を維持できるので、術後の脱臼リスクが大きく軽減しています。また傷つける組織が少ないので、身体への負担が軽いため術後の痛みも少なく、術後のリハビリがスムーズに実施でき早期の機能回復が期待できます。
ポータブルナビゲーションシステム
術前に患者さん一人ひとりの股関節をCTで撮影し、その画像データをもとに3次元画像を作成し、人工関節をどのような位置や角度で設置すればいいかという詳細な術前計画を立てます。この術前計画通り正確な位置や角度に人工関節を設置するためには、骨盤の位置情報が重要です。ポータブルナビゲーションシステムを使用した手術では正確な骨盤の位置情報が得られるので、非常に精度の高い手術が可能となります。近年はポータブルナビゲーションシステムもさらに進化し、術中に脚の長さを計測できる機械も出てきました。これを使用すると術前計画通りに脚の長さを調整できているかが術中にリアルタイムで確認でき、脚長差のない手術が実現できます。また、正確な位置に人工関節を設置すると術後に摩耗しにくいので、人工関節を長持ちさせるためにも、ポータブルナビゲーションシステムは非常に有用だといえるでしょう。
人工股関節の一例
進化していますね。様々な形状や大きさの中から、患者さんの骨の形や質に応じた人工股関節が選べるようになり、高度な変形にも対応できるようになりました。人工股関節自体の性能の進化に加え、ポータブルナビゲーションシステムによる正確な位置への設置などもあり、人工股関節の耐用年数は長期化しています。現在でも20年はもつといわれていますが、これはあくまでも20年前に手術を行った成績です。現在の進化した人工股関節の性能や手術手技であれば、今後は、30年はもつのではないでしょうか。耐用年数が20年といわれていたために、再置換を心配して60歳まで手術を我慢するというケースが以前は少なくありませんでしたが、現在は40代、50代でも人工股関節置換術を希望する方が増えています。
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