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専門医インタビュー

高齢女性に多い変形性股関節症 人工股関節置換など適切な治療選択を

この記事の専門医

内藤 正俊 先生

福岡県

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福岡大学名誉教授、鹿児島大学卒、医学博士、前福岡山王病院病院長、元福岡大学医学部整形外科教授、元福岡大学副学長、元福岡大学病院病院長
日本整形外科学会認定 整形外科専門医・脊椎脊髄病医、ベストドクター選出(2002~2020)

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この記事の目次

誰でも人工股関節の手術を受けられますか?

筋力があるうちに人工股関節置換術を受けることが大切です

筋力があるうちに人工股関節置換術を受けることが大切です

人工股関節置換術は90代以降の超高齢者の方にも適用可能です。ただし、人工股関節置換術は傷んだ骨を人工物に置き換える手術なので、年齢よりもむしろ人工股関節を動かせる「筋力」があることが必須です。つまり、寝たきりの状態や車椅子生活が長期に及び、足の筋肉が衰えてしまったという方への適用は難しいです。そのため手術に抵抗がある方も多いですが、まだ筋力があるうちに、歩けるうちに手術することを決断されたほうが良いでしょう。
そのほか、認知症の方や感染症を持っている方へも適応とならないでしょう。そのため虫歯や歯周病など人工股関節に感染が生じてしまう可能性のある方は、事前に歯などの治療が終わってからで手術を受けたほうが良いでしょう。

術後の生活や注意点について教えてください。

リハビリ

手術後早期にリハビリを開始し、2日目頃には立って歩くリハビリを行っていきます。そんなに早くリハビリを開始するのと思われる方もいるかもしれませんが、手術に伴う痛みの軽減方法も進歩しており、以前よりも痛みが軽減した状態でリハビリを行えます。その方の筋力の状態などにより2~4週間で退院となりますが、一人で歩けることが退院の目安です。
人工股関節が入った後に要注意なのが、脱臼です。普通の日常動作にほとんど制限ありませんが、内股で屈むとんび坐りのような動作では、角度によっては脱臼を引き起こすことがあります。そのため、日常生活では、例えば和式トイレの利用ではなく洋式のトイレを利用するなど、できるだけ洋式の生活をするように心がけてください。正座は、術後3ヵ月を経過すればできるようになってきます。ただし「正座の状態でお辞儀をする」という動作は、脱臼が起こりやすい角度になってしまうため、控えてください。また、感染症リスクを意識することも大切なので、虫歯や足の傷などを作らないよう、起こった場合は早期に治療するようにしてください。
日常生活では、ウォーキングやゴルフなどのスポーツ、旅行などもできるようになりますが、転倒には注意して日常生活を送ってください。ひどい転び方をすると、人工股関節そのものへの影響というより、その周囲が骨折してしまうという危険があるのです。その場合は手術が必要となってしまうので、転倒にはくれぐれもご注意ください。

最後に患者さんへのメッセージをお願いします。

内藤 正俊 先生

股関節に痛みや違和感を覚え、「日常生活が不自由になっている」「仕事に影響がある」といった方は、少しでも早い段階で専門医を受診されることをお勧めします。早い段階であれば、薬や適切な運動で進行を遅らせることもできます。痛みのせいで、仕事ができない、傷み止め薬を手放すことができないという場合は手術という選択肢もあります。ただし、手術は無理やり行うのではなく、受けるかどうかを決めるのは患者さんご自身です。
変形性股関節症は治る病気ではなく、年齢を重ねるごとに変形が進行してしまう病気です。
手術に対して不安を感じる方は少なくないでしょう。不安やお悩みは専門医に伝え、ご自身の状態に適した治療法を検討していくことが大切です。
股関節に不安を抱えている方は、まずはお気軽に専門医にご相談ください。


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