専門医インタビュー
山梨県
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基本的には消炎鎮痛薬の服用が中心になります。最近は、手術前の大腿神経ブロックや手術後のIVPCA(経静脈患者自己調節鎮痛法)など複数の手段を用いて、手術後の疼痛(とうつう)コントロールを行っている施設が増えています。また、手術中に筋肉を傷めると、どうしても手術後に強い痛みが出やすくなりますが、手術手技の向上により、筋肉を傷める程度を少なくすることも術後の痛みの軽減につながっています。
変形性股関節症の罹病期間が長いと、変形が進行し関節の動きも悪くなります。筋肉は、関節が動く範囲しか使われないので、関節の動きが悪くなると、筋肉の収縮量が減ります。すると筋肉は萎縮し、筋力も落ちるという悪循環に陥ってしまいます。人工股関節置換術では、股関節を人工物に置換するので関節の可動域は良くなりますが、その周りの筋肉は手術前の状態です。筋力が落ちていれば、手術をしていない股関節と比較して筋肉痛が起こりやすくなります。ですから、手術を受けるのなら、筋力があるうちのほうが望ましいですし、術後も手術をした股関節周囲の筋力強化が重要です。
ただし、手術は脱臼、細菌感染、血栓症、骨折、血管・神経の損傷などのリスクもゼロではありません。ですから、手術を受けるかどうかは、股関節の痛みなどにより生活に支障がある場合や気持ちが落ち込んでしまう場合に、最終手段として決めたほうがいいのではないかと思います。
股関節の痛みは、立ち上がる時や歩く時に出やすく、日常生活に支障をきたしやすいです。車社会で生活していると、あまり歩かなくても日常生活を送れてしまうので、痛みをがまんしている人も多いのではないかと思います。しかし、痛みがある状態が日常的に続いていると、気持ちがだんだんと落ち込んだり、日常生活の活動範囲が狭くなるなど、いろいろな不都合が起きてきます。股関節の痛みの原因を知り、抑えることは快適な日常生活を過ごすために重要です。股関節に痛みのある方は早めに整形外科を受診してください。一般的な治療を行っても、痛みが改善しないようなら股関節専門医に相談することをお勧めします。股関節専門医ならではの治療の選択肢を示してもらえると思います。できるだけ痛みが少なく、股関節の存在を忘れるような快適な日々を送っていただきたいと願います。
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