メニュー

専門医インタビュー

股関節の痛みは大きなストレス 勇気を持って専門医へ受診を

この記事の専門医

松本 幹生 先生

東京都

プロフィールを見る

専門:整形外科一般、股関節外科、リウマチ外科/資格:日本整形外科学会専門医

この記事の目次

人工股関節の手術は、痛いのでしょうか?

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後のレントゲン

手術では皮膚を切った後、筋肉を避けて手術を行うため、ある程度の痛みはあります。その対策として、手術前は麻酔科医による硬膜外麻酔、手術の最後にカクテル注射という痛み止めの注射、手術後は点滴による痛み止めを取り入れながら痛みをコントロールします。こうした方法によって、多くの方は術後、あまり強い痛みを感じることなくスムーズにリハビリを開始できます。早期にリハビリを開始することは、その分早く社会に復帰できる可能性も高まります。
もちろん、傷口の痛みであったり、筋肉痛のような太ももの筋肉の張りといった多少の痛みを感じることはあります。ただし、それは治るための痛みで一過性のものです。手術前のようなズキッとする痛みや、骨同士がゴリゴリこすれるような痛みではありませんので、これまでの痛みとまったく違うことに驚かれる患者さんもいらっしゃいますね。

手術後のリハビリについて教えてください

歩行器

一般的には手術翌日からリハビリを開始します。体重をかけて立ち上がり、歩行器を使って歩く練習から始めます。術後4日目くらいには、ご自身で起き上がり、歩行器を使って歩けるようになる方が多く、約2週間で退院です。階段昇降ができ、一人で外歩きができるようになるくらいまでリハビリを進めていきますが、手術後の股関節の状態や筋力によってもリハビリの進み具合は違います。決して焦らずに、ご自身で目標を持って取り組んでいただきたいと思います。

手術後は、どんなことに注意が必要ですか?

テニス

手術後に気をつけていただきたいのは、脱臼しやすい姿勢を取らないようにすることです。前方アプローチの場合は、足を後ろにした状態で、つま先を外側に大きくひねったり、大きく仰け反るような動作をしたりすると脱臼しやすくなりますが、このような動きはそもそもできない人が多いため、日常生活で脱臼する心配が少ないのです。一方、後方アプローチの場合は、足を組んだりななめ座りや正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすいので気をつけましょう。スポーツに関しては、テニスや卓球、ゴルフなど、もともとやっていた競技に復帰する方も多くおられます。重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限なく好きなことにチャレンジできると思います。
手術後は最初は1ヶ月後、3ヶ月後に外来診察に来ていただき、以後は半年~1年に1回受診していただき人工股関節に異常がないか検査を行います。その他に、人工股関節を長持ちさせるためには、糖尿病、歯周病などによる遅発性感染を防ぐことも大切です。また、股関節に大きな負荷がかからないよう、体重のコントロールも欠かせません。健康な身体を目指して、全身状態を整えることをお勧めします。

最後に股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします

松本 幹生 先生

痛みというのは、とても大きなストレスです。痛みを抱えている患者さんが初めて整形外科を受診するとき、手術を勧められるのではないかといろいろ想像して、恐怖心を持たれているのではないかと思います。しかし、症状によっては、股関節に負担がかからないようにご自身の生活スタイルの改善や体重管理、筋トレで痛みを改善することができる場合が多くあります。また、症状が進行している場合でも、いきなり手術を勧められるようなことはなく、痛みの度合いや日常生活でどのくらい困っているかなどを確認しながら、ご家族や医師と適切な手術時期を相談することもできます。ご自身に合った治療法を選択するためには、股関節の状態をしっかり把握することが大切です。痛みを改善するために、勇気を持って受診していただきたいと思います。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop