専門医インタビュー
広島県
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膝や脚のつけ根などの関節が痛い、こわばったような感じがあり、動かせる範囲が狭くなった気が…。
思い当たる人、それは「関節リウマチ」かもしれません。痛みや動かしにくさは、生活の質を大きく落とすもの。どんな病気か、また治療について、浜脇整形外科病院の島岡康則先生にお聞きしました。
関節の痛みの原因に、「リューマチ」「リウマチ」が考えられます。どちらも文字だけだと変わりがないように見えますが、異なる疾患です。「関節リューマチ」は加齢によって関節が変形する疾患。変形性膝関節症や変形性腰椎症、骨粗鬆(そしょう)症などに起因します。投薬やリハビリなどの治療を続けても軽減されない場合は、「関節リウマチ」も疑います。
「関節リウマチ」は、免疫に異常が起こる全身性疾患。関節の滑膜という部分に慢性的な炎症が起こり、関節が腫れて痛む疾患です。軽度の場合も含めると、全国で300万人程度患者がいると考えられています。進行すると、軟骨や骨の破壊が進み、関節の変形や機能障害が起こります。膝関節や股関節だけでなく、肩や腕、手首、手指などの関節でも発症します。加齢による「関節リューマチ」と異なり、「関節リウマチ」の発症が多く見られるのは30代後半~40歳代の女性。55歳以上の高齢発症もあり、こちらは加齢によって弱った関節に、免疫疾患が影響して痛みが出ることもあります。
関節リウマチの薬
基本的な治療は、症状に合わせた保存療法(投薬治療)です。腫れや炎症を抑え、こわばりを改善するためには、「ステロイド」を使用し、痛みを改善する場合は「消炎鎮痛剤」を使います。
リウマチそのものの治療を行う場合は「抗リウマチ薬」を使用します。効き目は穏やかで、時間を掛けて治療していきます。息切れ、湿疹、蛋白(たんぱく)尿、肌荒れなどの副作用が伴います。より強力な効果を求めるケースは、生物が作るたんぱく質を基にした生物学的製剤を使うこともあり、こちらも副作用を考慮しながらの治療となります。
このような症状に気を付けて下さい。
「膝・股関節の場合」 | 「肩や肘、手指の場合」 |
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保存療法を続けても大きな改善が見られず、痛みやこわばりによって日常生活の支障が大きくなった場合には、手術を提案します。
膝・股関節のリウマチの場合は、立ち上がりや歩行時の痛みに悩まれる方が多いです。15分程度続けて歩けなくなると、引きこもりがちになり、筋力が低下、精神的にも良くありません。特に股関節は負荷が大きい関節。体重の3~4倍の負荷か掛かるため、その分、痛み始めてから組織の破壊まで早く進行します。このような場合、早期の手術がスムーズな回復に繋がります。肩や肘、手指の場合、財布から小銭がうまく取り出せない、タオルが絞れない、顔が洗えない、トイレでお尻が拭けないなど、さまざまな局面に不便が生じます。ささいなことのようですが、日常生活の不便さは、ご本人にとっては大きな損失です。
医師が診断する際、どんな動作に不便があるかは、どの関節に疾患があるかを見極めるポイントになります。ぜひ、診断のときに医師に相談してください。また、痛みや不便があっても、投薬とともに自助具(動作を助ける器具)やご家族の介助などで改善できる場合もあります。関節リウマチは、一度発症すると長い付き合いになる病気です。患者さんご本人とご家族がしっかり医師と話し、病気を理解し、体の使い方を知ること、どのようなサポートが必要か知ることが大切になってきます。
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