専門医インタビュー
静岡県
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現在の人工関節は、性能も手術のテクニックも良くなっていますから、ほとんどの場合、20年以上の耐久性があると思います。ただ、人工関節そのものは問題がなくても、骨が弱くなって人工関節が緩んでしまうことも考えられますから、術後の定期健診は決して忘れない様に注意をお願いします。
なお、人工関節はあくまでも「人工物」ですので、長い年月の間にはすり減ったり、金属と骨との固定が弱くなったりして、緩みが出てくることがあります。このような場合には入れ替えのための手術を行う必要があります(再置換術)。
片側置換術と膝蓋大腿関節置換術後のX線(正面、横)
人工膝関節置換術には、膝関節全体を人工関節に置き換える「全置換術」と、膝関節の傷んでいる片側だけを人工関節に置き換える「片側置換術」があります。その他、膝の中央にあるお皿(膝蓋骨)だけを、専用の小さな人工関節に置き換える方法もあります(膝蓋大腿関節置換術)。このような膝関節の一部分だけを削って、より小さな侵襲で人工関節に置き換える方法は、患者さんの身体への負担も少ないことから、近年症例数が増えています。
膝蓋大腿関節置換術
「膝蓋大腿関節置換術」について、詳しくはこちらをご参照ください。
リハビリの風景
痛みや発熱さえなければ、手術の翌日から歩くことができます。無理のない、可能な範囲で動きはじめ、少しずつリハビリを重ねて2~3週間程度で退院するのが普通です。人工関節が膝に本当に馴染むには、少し時間がかかるかもしれませんが、3か月から半年もたてば慣れてきて、自分の膝になってきます。日常生活の中でやってはいけない動作というのは特にありませんが、できれば和式のトイレや正座などの生活ではない方がいいと思います。術後に富士山に登った人もいましたが、普通はそこまで無理をしなくてもいいでしょう。
なお、膝を伸ばす筋力をつけるためのリハビリは、術後も大切です。筋力トレーニングを続けることで、膝が安定するだけでなく、曲がりも確保できるため、様々な動作がしやすくなります。痛いからと曲げないでいると関節は固くなり、ますます動かしづらくなります。具体的にどのような内容のリハビリをすればいいかについては、専門家に指導をしてもらいましょう。膝の痛みがとれて海外旅行をする人も多くいます。人生の楽しみを実現できるようになります。
膝の違和感や痛みは我慢しすぎずに、まず近所の整形外科でその原因を確かめてもらいましょう。原因が分かれば、それに応じた治療法はいろいろあります。変形性膝関節症と診断されても、保存的な治療法でしばらく様子を見て定期的にチェックをしていくこともできます。
ただ、1~3か月間同じ治療をしても余り症状が改善しない場合は、膝の専門医のいる大きな病院で一度診てもらうことをお勧めします。変形性膝関節症だといわれて1年半も水を抜くだけの治療をしていた人が、改めて検査をしたところ関節リウマチだったことが分かったというケースもあります。また、膝の痛みを訴えてきたけれど、実は股関節が悪かったという人もいらっしゃいます。痛いところと悪いところが別の場合もあるので、様々な角度から総合的に診てもらわなければいけません。
膝の痛みや歩き辛さは歳だから仕方がないと決めつけないで、専門医に確認してもらうことが大事です。
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