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専門医インタビュー

膝痛の原因はさまざま あらゆる疾患の可能性も含めた診断が大切です

この記事の専門医

平野 裕司 先生

愛知県

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日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員、日本整形外科学会整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、臨床研修指導医、日本リウマチ財団リウマチ登録医、日本臨床リウマチ学会評議員、中部リウマチ学会評議員

この記事の目次

変形性膝関節症の場合にはどのような治療法がありますか?

関節内へのヒアルロン酸注射

関節内へのヒアルロン酸注射

一般的な治療法として、まずは保存療法が行われます。飲み薬や貼り薬の消炎鎮痛剤や、関節内へのヒアルロン酸注射、炎症が強いときには、頻回ではないもののステロイド剤を使うこともあります。また、膝関節周囲の筋力トレーニングや靴の中敷きなどの装具療法もあります。これらの保存療法で痛みが改善しない場合は、次の選択肢として、膝関節の骨を切って荷重のバランスを矯正する骨切り術や、膝関節の部分を人工のものに置き換える人工膝関節置換術といった手術療法があります。

手術を受けるメリットは何でしょうか?

材質がかわり耐用性が延びました

材質がかわり耐用性が延びました

人工膝関節置換術の場合は、痛みの改善を期待できることが大きなメリットだと思います。近年は、技術の進歩によって、かつて10年程度と言われていた人工膝関節の耐用性が20年くらいにまで伸びていると言われています。そのため、これまでは60歳くらいまでの比較的若い世代の人は骨切り術が選択されることが多かったのですが、近年は60代くらいでも人工膝関節の手術を受けるケースが増えているように感じています。
また、手術時の麻酔の技術も進歩しているため、高齢の人でも人工膝関節の手術を受けられるケースが多いという印象があります。その意味では、人工膝関節を始めとする様々な医療の進歩によって、幅広い年代の人が人工膝関節置換術を治療の選択肢の一つとして考えられるようになっていると思います。

手術の決意がなかなかできません。

人工膝関節の一例

人工膝関節の一例

手術を受けることを決断するのは、そう簡単なことではないでしょう。手術を受けたほうがいいのかどうか迷うときには、膝痛によってご自身の生活がどのくらい困っているのかをよく考えてみるといいと思います。例えば、お一人で暮らしていて、自分でいろいろと身の回りのことをやらねばならないけれども、膝痛のために買い物にも行けずに困っているといったことがあれば、手術の必要性は高いと思います。逆に、多少の痛みはあるものの、身の回りの世話や買い物などを代わりにしてくれるような人がいて、日常生活の困難が比較的少ないのであれば、あえて手術する必要はないのかもしれません。人工膝関節の手術は、必ずしなければいけないものではありませんので、ご自身にとってどのくらい必要性があるのかを考えることが大切だと思います。また、周りの友人・知人で人工膝関節の手術を受けた人がいらしたら、直に感想を聞いてみるのもいいと思います。
変形性膝関節症は非常に痛いときもあれば、痛みが収まるときもあり、その後何かをするとまた痛み出すといった複雑な病気でもあります。痛みをグラフ化すると人それぞれなので、そのせいで手術を決めかねてしまうということもあると思います。その場合は、整形外科のかかりつけ医を定期的に受診して、自分の膝関節の状態を確かめ、主治医によく相談しながら手術の必要性や受けるタイミングを決めていくことをお勧めします。


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